11月23日勤労感謝の日は、3年ぶりのくらしき健康福祉プラザまつりでした。
言語聴能訓練室では、摂食嚥下のQ&Aでクイズに挑戦してくださったり、言葉の発達についての展示も熱心に見て頂けて嬉しかったです。
例年より、短い時間でしたが沢山の方のご来場ありがとうございました。
古くから吃音は長い間「本人に意識させない方がいい」と提唱されてきましたが今はそれは間違っているとされています。
しかし、日本では今もその考えは根強く正しい認識がアップデートしきれていないのが現状です。
子どもに「吃音を意識させない」ことを重視しすぎた対応をしていると、子どもが自分の話し方に対し「なんで、言葉がつっかえるの?」というような素朴な疑問に対して身近な大人が向き合ってあげられない場面が生じてしまう恐れがあります。
むしろ、子どもが自分の話しにくさに対して「この話はしたらいけないのかな」と、相談しにくい雰囲気を作ってしまうかもしれません。
吃音についての話をタブー化せず、吃音についてフランクに話せる雰囲気を作りをするためにも、子どもの疑問に答える準備をしておきたいですね。(吃音の話③ お話しができる環境づくり)
疑問に対しての答え方の例
「吃音と言われる話し方で、子どもでも大人でもそういう話し方の人がいるよ」
「吃音という話し方で、クセみたいなものだよ。悪い事じゃないよ」……等など
吃音のある子どもの多くは6歳から7歳ごろに半数以上が園や学校生活で発表や友達との会話などで吃音を意識することが多いとされています。それに対し保護者のほとんどは、2~3歳ごろ吃音が出ている事に、本人より先に気づいています。
吃音は意識させても悪化には繋がりません。
専門家(医師、言語聴覚士、通級指導教諭等)や保護者は、早期に園・学校に吃音に伴うからかいや、いじめ(笑う、真似る)などがないかを確認し、吃音は「わざとではないこと」「自分の努力や意識でコントロールできないこと」を周囲に知ってもらう事が大切です。
その上で子ども達にもそのつど「わらったり、真似たりすることは良くない」ことを伝えていくようにしましょう。
参考論文
菊池 良和ほか 吃音を意識した年齢に関する検討 音声言語医学56 巻 (2015) 4 号
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吃音だけでなく様々理由によって配慮が必要な場合、筆記試験や面接で合理的配慮を申請することが出来ます。
配慮の内容は、障がいや疾病によってそれぞれです。
岡山県立高校の入試でも多くの学校で面接があります。
県立中学校の入試では、4校とも面接がありますが、事前の相談によって合理的配慮を受けることが可能です。
吃音に対しての面接時の合理的配慮の例は以下が挙げられます。
・ことばが詰まっても話しの続きを促さない
・大きな声を促さない
・面接時間の延長
・筆記での対応
配慮事項については
適正検査及び面接を受験するに当たり、病気や傷害等等の事情により時別な配慮を必要とする場合、保護者は、事前に志願校と十分に相談する。
とあります。
また、文部科学省では
(高校入試を実施側に求められる対応)
〇医師の診断書の発行に時間を要する場合等もあることから、申請方法等の明確化を図ること。⇒ 申請方法(申請時期、申請先、必要な書類など)、決定時期、再申請の方法など
〇合理的配慮は一人一人の障害の状態や教育的ニーズに応じて決定されるものであることから、申請を不許可とする場合は、その理由を具体的に説明する必要があること。
〇受験上の配慮事項を決定するにあたっては、中学校において行われている配慮や支援の内容が参考になることから、中学校と高等学校が連携を図るなどして、積極的に情報共有を行うこと。
と合理的配慮を受ける際に医師の診断書を発行するには時間がかかる為、どのような書類を準備すればいいのか、入試を実施する高校側が明確にすることを求めています。
どのような書類が必要か、まずは在学校を通して中学校、高校に問い合わせてみてください。
大学受験においての合理的配慮の申請は、各大学のホームページに申請方法が記載されています。
例えば倉敷市立短期大学では、募集要項の令和5年度学生募集要項 38ページに合理的配慮について記載されています。大学の多くは出願前に早めに相談することが求められていますので、志望する大学に予め何が必要なのかも含めて相談の連絡をすることをお勧めします。
受験する検定によっても配慮が受けられる場合があります。
まず、どのような書類が必要なのか?どのように申請するのか?各検定の協会のホームページで確認してみましょう。
言語聴能訓練室は、医療機関ではなく医師もいないため、診断書等は書けませんが、かかりつけの先生や学校の先生に、吃音について「どのように説明したらいいのかな?」など、お悩みの場合にはご相談ください。
関連コンテンツ:小・中・高校生のみなさまへ
参考書籍:菊池良和著,吃音の合理的配慮,学苑社,2019
参考・引用HP:学苑社HP
おもちゃの貸し借り①で、外出時、こども同士の玩具の貸し借りは社会のルールと気持ちのコントロールが必要なので、大人はこどもの発達段階と気持ちに寄り添った関わりをしてくださいと伝えました。
今回は
こどもの発達段階と大人の関わりについて お伝えします。
自分の要求をことばや動作で相手に伝える表現ができるか?
(要求を表現できたからといって、必ずしも「貸し借り」がうまくいとは限りませんけど…)
遊びたいけど「貸して」と言えない時や、
まだ使いたいのに「貸して」と言われた時に、
自分で「いいよ」「いやだ」「あとで」「どうぞ」「かして」などがいえる(ジェスチャーまたは動作表現でも可能)か、どうかです。
できない場合は、いっしょに「まって」「いいよ」を言ってみる、まずはこれで様子をみてみましょう。
貸してもらえた時の「ありがとう」を表現する(行動模倣も可)等
ことばや気持ちを表現する、相手に伝えようとする反応が大事です。
泣き叫ぶ、相手をかむ等の行動には大人が対応しましょう。
こどもが自分で気持ちを伝えることを目標に焦らず関わりましょう。
こどもの発達について、
困ったことを言いつけにくるのは2歳後半からです。(個人差有り)
こども達は困った時の対処方法を大人に教えられることで、
見て、真似て、社会ルールを学んでいきます。
「~していい?」と交渉表現が可能になるのは3~4歳代です。(個人差有り)
それができると、少し離れていても安心できますよね。大人が見守る意識が大事となってきます。(危険が伴う、人や物を傷つける等の言動の場合は介入の必要があります。)
5~6歳代になると、ともだちと要求を話し合い、遊びの中でルールを発展していくように成長していきます。(個人差有り)
同時に、こども自身がどう感じたか、行動の理由を話してくれるようになります。
外出先では、一人で遊ぶのが好きな子、お友達と遊びたい子、親から離れてても楽しむ子、場所見知りや人見知りで親から離れて遊べない子、年齢も性格もいろいろな子ども達が遊びにきています。関わり方はいろいろです。
こどもにとって遊びの経験を増やすことはコミュニケーションの成長にもつながっていくのです。
関連 譲り合う参照 コミュニケーションを豊かにするために①②参照
子育て支援センターなど外出先でのお子さん同士のおもちゃの貸し借り場面で
大人はどれぐらい介入すればいいのかわからないという相談を受けます。
確かに、こども同士での玩具の貸し借りは簡単ではないと思います。
「おもちゃの貸し借りで大人がどれくらい介入するかは
こどもの発達(成長)段階によって異なります。」
社会のルールと気持ちのコントロールが必要となる玩具の貸し借りでは、
物の共有や友達と一緒に遊ぶことが苦手なお子さんは、順番などのルールを守ることは難しいと思います。
こどもの発達と気持ちに寄り添いながら、関わってあげることが重要です。
お母さん達はこどもの発達と気持ちに寄り添った声掛けをしています。
例えば、
子:「いやだ」とおもちゃを貸せない場合、
母:「いやだって、ごめんね。」(代弁する)
「いま、遊び始めたばっかりだから、もう少し待ってね」(理由の補足)
「こっちはどうかな?」と他の玩具を差し出してみる(新しいものへの興味を持たせる)
「少し待って、順番にして一緒に遊ぼう」(一緒に遊ぶ楽しさに気付かせる)
等の関わりをしています。
こどもの気持ちを代弁しながら、社会のルールの大切さを伝えています。
力づくで取る、手が出てしまう、泣き叫ぶなどの行動には大人が介入し、いっしょに言ってみる、待つなどしてみてください。
通いなれた場所や、なじみのある大人や友達には伝えやすいので、
お片付けをする、職員に玩具を返す時「ありがとう」を言う、「どうぞ」「かして」と言う、順番を待つ等、やってみましょう。
物を共有し一緒に遊ぶことの楽しさがわかってくると、
やってみたいから「貸して」と言ってみよう、待ってみよう、ともだちと一緒に遊びたい、など感じ、次の行動を選んでいます。
こどもは楽しいことが好き。いろんな遊びを経験して成長します。
関連 譲り合う 参照 コミュニケーションを豊かにするために①②参照
「あとでね」「これ(おかず)たべたら、バナナをたべようね」などの声掛けがわかかり始め、交渉表現を理解し始める年齢は2歳前後です。(個人差は有ります)
そして、
こどもが交渉表現を使い始めるのは、3~4歳代以降です。(個人差は有ります)
当施設でよくある親子の交渉風景です。
こども「こうえん、いきたーい」
おかあさん「おべんきょう終わったらね。」
こども「おべんきょうのあとに、こうえん いい?」
おやこ「おやくそくだね」 😛 😛
交渉には
ルールを守ること、気持ちの折り合いをつける能力が必要です。
日ごろから こども、大人 どちらかが一方的な言うことに従う関係性ではなく相互的な関係性をつくっておくことが前提になります。
譲り合うことや約束を守る経験を積むと、互いの達成感につながっていきます。
話は戻りますが、もしお勉強後にこどもがこうえんに行く約束を忘れていた場合
(可能な状況ならば)
「こうえんに行くお約束はもういいの?」と振り返りを促してみてください。
お互いに約束を守ろうとすること、お互いに気持ちの折り合いつける経験は大事です。
約束を守れない、こどもが納得できない(気持ちのコントロールが難しい)時は、「おかあさんも、残念だよ。」等、きもちを共感すると切り替えやすくなるかもしれません。
「またね。」「今度はできたらいいね。」「つぎは、お約束ね。」等、見通しを持たせる言い方で伝えてあげてください。
要求がない、やりたそうだけど自分から言えない等、こどもの場合は自分で選ぶ自発的な言動をする)経験を積むことから行ってください。(インリアルアプローチ/コミュニケーションを豊かにするために①:参照)
少し我慢してもよかった、楽しかったという経験を積み重ね、交渉が上手にになると思います。
まずは親子でやってみてください。
自分のしたいことが100%思い通りにならないのは、こどももおとなも同じです。
交渉表現を含んだやりとりが大人とできると、こども同士でもできるようになっていくでしょう。
参考書籍:湯汲英史,小倉尚子,一松麻実子,藤野泰彦:発達障害のある子どもと話す27のポイント わかりたい気持ちを高めるために,かもがわ出版,2011
関連ブログ:
インリアルアプローチ/コミュニケーションを豊かにするために①
【はつおんあそび】第3弾
【お口ジャンケン】を紹介します
お口の体操より動きは少ないですが、遊びながら少しでも楽しくお口を動かす練習が出来たらいいなと思います。
【対象】 4歳以降
【ねらい】
唇や舌の動き向上
唇や舌を意識する
【やりかた】
ぐー(タコのくち)
ちょき(ベロをだす)
ぱー(くちをあける)
グーチョキパーの口の形を確認する。
「じゃんけん」の掛け声でジャンケンをする。
口の形をしっかり止めて、お互いに見るように気を付けましょう。
ベロを出す時は、口をしっかり開いてベロの力だけで動かすとより効果的です。
グーチョキパーの口の形を変えて、色々な動かし方をしてみましょう。