吃音のお話②

こんにちは。言語聴覚士Kです。

今日は「吃音の話② 関り方について」についてお話します。

前回の「吃音のお話①」で

吃音症状があっても、一喜一憂しないこと

話し方ではなく内容やお子さんの話したいことに注目する

話したいきもちを育てることが重要

と、お伝えしました。

実際にお子さんの吃音症状で来所された方々はいろいろと心配されています。

吃音があるお子さんの話したい気持ちを育てるにはどうすればいいか?

関わり方のポイントについてお伝えします。

 

お子さんに話しかける時

吃音の有無に限らず、幼児期のこどもは、ことばの処理能力が発達途上です。大人の話(量や速さ)を短時間で処理して「聞く」、「理解する」、「話す」の機能を同時に使うのは難しいことです。

🍎ゆっくり話す

🍎短くわかりやすく話す

🍎お子さんが話し終えてから少し間をおいて話しはじめる

🍎答えやすい問いかけをする

 

お子さんの話を聞く時

お子さんの話したいきもち(意欲)を優先してください。話したいことを話すのは楽しい経験なのです。お子さんはお話が伝わったという達成感からまた話したいと思うようになります。

🍎話が終わるまで待つ

➡話し終えた(伝わった)ことが達成感につながり、また「お話したい」と思うようになります。話しにくそうでも、まだ話したい気持ちがあるときはうなずく等して待ってください。

🍎吃音がでても心配そうな顔をしない

➡親こそ「どもってもいい」という思いが必要です。

🍎話し方への注意やアドバイスはしない(「ゆっくり」、「もういちどいって」)

➡スムーズに話せない自分はよくないと勘違いして話すことをさけるようになるかもしれません。

🍎話の途中で言いたいことを先取りしない

➡話したい気持ち(意欲)を損なわないためです。

🍎話の途中に、ことばがなかなかでてこなくなったときはこどものことばを繰り返す

➡こどもの言ったことばを復唱することで「ここまではわかったよ」というサインになり、こどもは先に話をすすめることができます。  😊

 

生活面で気をつけたいこと

 

🍎生活のペースは、できるだけゆっくりを意識する

🍎1日に少しでもゆったり向き合う時間をつくる

➡忙しい時間に限って、かまってほしがるもの。そんなときはあとでも大丈夫です。

自分の話を聞いてもらえるという安心感は話す意欲を高めることへとつながります。

🍎きょうだいがきそって話そうとするときは、順番にする

🍎吃音の話や自分の困ったことを話せるような雰囲気をつくっていく

➡日ごろから「楽しいこと」「変だなと思ったこと」「困ったこと」などのお話ができるよう環境づくりをしてください。

🍎心配な時は医療機関、専門機関に相談してみる

➡吃音の正しい知識や関わり方を知ることで吃音を増やさないこと(注:「吃音を治す」ではありません)はできます。不安やどう対応すればよいかわからないときは相談をおすすめします。

 

次回は、「吃音の話③ お話ができる環境づくり」について お話します。

 

【おすすめ吃音関連サイト】以下リンクは外部サイトに移動します。

吃音ラボ

全国言友会(吃音(きつおん)のある人のセルフヘルプグループ)

参考書籍: 菊池良和, 吃音のことがよくわかる本, 講談社, 2015年

     吃音のことがよくわかる本

関連記事 ことばの相談について

                  吃音のお話①

     吃音のお話③

吃音のお話①

こんにちは。言語聴覚士Kです。

今日は「吃音の話① 基礎知識」についてお話します。

吃音(きつおん)とは ? 言いたいことがあるのに、そのことばがスムーズに話せないことです。一般的にはどもるともいいます。

たくさんのことばを覚え、おしゃべりが増えてくる2歳~5歳頃に始まることが多く、幼児の約20人に1人の割合でみられます。

ことばがどもるとは、

繰り返し(=ことばの一部をくりかえす)

例:「ぼ、ぼ、ぼく」

          

引き伸ばし(=ことばを引き伸ばす)

例:「きーーーのうね」

         

難発(=なかなかことばがでてこない)

例:「・・・・・・りがとう」

等の症状のことを言います。

また、話す時に手を振る、足踏みする、顔をゆがめる、力む、話すのをやめてしまう等の随伴症状もあります。

特徴に、話しやすいことば話しにくいことばがあります。

日や場所によって、出たり、出なかったり変動します

吃音にはがあります。

 

吃音になる原因は ?

はっきりとわかっておらず、確実な治療法も確立されていません。

吃音の相談で、よくある質問に

「母親が妊娠中で関わる時間が減ったから…」、「引っ越ししたから…」「両親が仕事に行き始めたから…」、「トイレトレーニングをしすぎたから…」等

環境の変化や両親のしつけについてが原因ではないか?と尋ねられますが、それは違います。

吃音がではじめたきっかけ原因は関係ありません。

親の接し方やストレスで吃音になったという考えは誤りです。

 

吃音は治るの ?

約8割は自然治癒しますが、2割のお子さんは幼児期を過ぎても吃音が続くといわれています。

吃音が続く可能性が高いお子さんの特徴として「女の子より男の子」、「家族に吃音のある人がいる」「吃音が始まってから3年以上たっている」が挙げられていますが、予後については予測不能です。

吃音にはまだまだわからないことが多く症状が変化する為不安になるかと思います。

ただ、お子さんは日々成長しています。覚えたことばを伝える経験は重要です。

この時期は、吃音症状があっても、一喜一憂しないことが大切です。

話し方ではなく内容やお子さんの話したいことに注目してみてください

吃音があってもなくても言いたいことが最後まで言える

また 話したいきもちを育てること重要です。

 

では、聞き手となる私たちがどのように関わっていけばよいか?

次回は、「吃音の話 関り方について」「吃音の話 お話できる環境づくり」の話をしたいと思います。

 

【おすすめ吃音関連サイト】以下リンクは外部サイトに移動します。

吃音ラボ

全国言友会(吃音(きつおん)のある人のセルフヘルプグループ)

参考書籍: 菊池良和, 吃音のことがよくわかる本, 講談社, 2015年

     吃音のことがよくわかる本

関連記事 ことばの相談について

     吃音のお話②

     吃音のお話③

                 吃音①基本的な症状

     吃音②吃音の問題(指導者向け)

     吃音③気になる子どもがいるとき(指導者向け)

     吃音④子ども達が受けたい支援(指導者向け)

     吃音⑤具体的な支援(指導者向け)

ことばあそび⑥おとはいくつ?

こんにちは。言語聴覚士Sです。
【ことばあそび】第6弾
今日は【おとはいくつ?】をしてみたいと思います。

 

【ねらい】

①ことばがいくつかの音で出来ていることに気づく。

②ことのばの音の数をかぞえる

③一文字にひとつの音が対応している事を知る

④文字に興味を持つ

【対象】

5歳から

【よういするもの】

かみ、えんぴつ(色えんぴつやペンでもよい)

【できるにんずう】

2人(1人でも可)

【やりかた】

①かみ に 10こ くらい 〇(まる)を かく

②じゅんばん に、おもいついた ことば の おと の かず だけ、〇(まる)を ぬる

③さいしょ に かいた 〇(まる)を ぴったり ぜんぶ ぬれたら おわり

⭐ 〇を きょうりょく して ぴたっり ぬれたら せいこう

⭐ 〇を たくさん ぬれた ほう が かち など

         ルールを変えると勝負する遊びとしても、協力する遊びとしても楽しめます。

 

これから、紹介していくブログの参考にしたいと思います。
よろしければ、メールフォームから感想をお寄せください。

「おもしろかった。」
「簡単すぎた。」
「こんな、遊びを知りたい。」
どんな些細なことでもひとことでもうれしいです。お待ちしています。

キーワード
#家 #遊び #おうち遊び #ことばあそび #発音 #感覚相談事業 #言語聴覚士 #ST #小児

ことばあそび⑤新聞電車

こんにちは。言語聴覚士Kです。

ことばあそび第5弾 新聞電車

ごっこ遊び好き、電車好きなお子さんにおすすめ

おうちでできるあそび 

 

[しんぶん電車]  

 

[ねらい]

いっしょに動く

ゆっくり動く

人との関係をとる

[対象]

3歳0ヵ月~

新聞以外の物を使うと、2歳6ヶ月~ でもできます。

 

[用意するもの]

しんぶん または かみ テープ はさみ(ちぎってもよい) 

 

[人数] 2人以上

 

[やりかた]

①しんぶんをきりぬく(中に人が入るため)または、かみをつなげて わをつくる。

②わのなかに、はいってやぶれないようにすすむ。

③かみがやぶれたら、いったんとまる。

 

他にも

新聞を重ねてみる / 違う素材(フープや縄)でやってみる / 前後をかえて進む 

リズムをとってみる / 早歩きしてみる / 走ってみる 

 

すぐやぶれちゃいますが、それもまたOK!いろいろ繰り返しやってみてください。

 

外出先で手をつなぎたがらない、すぐ走ってしまう

お子さんにはよいと思います。

 

これから、紹介していく遊びの参考にしたいと思います。
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キーワード
#家 #遊び #おうち遊び #ことばあそび #感覚相談事業 #言語聴覚士 

 

ことばあそび④なんといってる?

こんにちは。言語聴覚士Sです。
【ことばあそび】第4弾
今日は【なんといってる?】をしてみたいと思います。

【対象】
 年長から

【ねらい】
 (1)人に注目する
 (2)表情から気持ちを想像する
 (3)表情から状況を想像する

  
 【よういするもの】
 なし(しゃしん を とってもいい)

【できるにんずう】
 2人以上
 
【やりかた】
1. もんだいをだすひと は つたえたいきもち を かんがえます。

2.「なんといってる?」と いって、つたえたい きもち の かお で じっとします。
3.こたえるひとは、かお を みて こたえます。

やってみよう。

このひとは、なんといっているでしょう?

せいかい 

 

 

 

 

 

あってましたか?

 

れんしゅう

① なんと いっている でしょう?

② なんと いっている でしょう?

③ なんと いっている でしょう?

④ なんと いっている でしょう?

 

 

せいかい

①「かなしいなぁ」「さみしなぁ」 など

②「おこったぞ!」「もう、いやだ!」 など

③「わぁ!びっくりした」「すごい!」 など

④「たのしいなぁ」「うれしいなぁ」 など

 

いろいろな ばめん を そうぞうして、いろいろ な かお を かんがえて みましょう。

どんな ばめん なのかも みぶり で やってみても、たのしそうです。

 

これから、紹介していく遊びの参考にしたいと思います。
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キーワード
#家 #遊び #おうち遊び #ことばあそび #感覚相談事業 #言語聴覚士 #ST #小児

はつおんあそび②おくちのかたちクイズ上級編

こんにちは。今日は[はつおんあそび]をしてみたいとおもいます。

[ねらい]

口の形をまねする

舌(ベロ)のコントロール

音を聞き取る

音の聞き出し

語想起

[対象]

5歳~

だい2だん[お口の形クイズ] ぱ・た・か・ら じょうきゅうへんをご紹介します。

[よういするもの]

口の形のイラスト4まい(指さしする用)

[にんずう]

2人以上

[やりかた]

①ぱ、た、か、ら の口のイラストをまねて声をだす。

②1つの音を聞き、同じ口の形(イラスト)を指さしする。

③慣れてきたら口元をかくす。

イラストの表している音は

左上から 「た」→「ら」

        ↙

左下から 「か」→「ぱ」

これからのブログの参考にしたいと思います。
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関連記事 発音の話①②③

     ことばあそび②

はつおんあそび①くちのかたちクイズ

こんにちは。言語聴覚士Sです。

今日は[はつおんあそび初級編]をしてみたいとおもいます。

[ねらい]

絵をみて口の形がわかる

音から口の形が想像できる。

 

[対象]

5歳~

はつおんあそび だい1だん[お口の形クイズ] ぱ・た・か・ら へんをご紹介します。

こたえ は ぺーじ の さいごに あります。

だい1もん「ぱ」はどっち?

1)            2)

 

 

 

 

 

 

だい2もん「か」はどっち?

1)             2)   

 

 

だい3もん「た」はどっち

1)             2)

 

 

 

こたえ

だい1もん 1)「ぱ」はくちびるをつかって発音(はつおん)します。

だい2もん 1)「か」はくちのおくでベロのうしろをあげて発音(はつおん)します。

だい3もん 2)「た」は上の前歯の裏にベロのさきをつけて発音(はつおん)します。

これからのブログの参考にしたいと思います。
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#家 #遊び #おうち遊び #ことばあそび #はつおんあそび #発音 #感覚相談事業 #言語聴覚士 #ST #小児

 

関連記事 発音の話①②③

     ことばあそび②

発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び

こんにちは。言語聴覚士Kです。

今日は発音のお話です。

発音のためになる生活動作や遊びの工夫についてご紹介します。

「簡単!!発音を育てるために、おうちでできること  」

口や舌をうごかすことが発音するための動きの準備運動になります。

毎日の生活や遊びを少し工夫するだけでOKです。

🍎よく噛むこと・元気に遊ぶこと             

 ➡食事中、モグモグ噛んでいる間もベロは動くよ。

🍎吹く遊び(口から息を出す練習        

 ➡例えば、お風呂の玩具を浮かべて吹く。ラッパやハーモニカを吹く。

   シャボン玉や風船をふくらませる。         

🍎なめる(舌先の動きをよくするために            

 ➡ぺろぺろキャンディやソフトクリームをなめる。

  口の周りについたジャムやはちみつをなめてとる。            

🍎ベロ遊び

 ➡「あっかんべー」と舌を出す。舌を出してレロレロと

 左右に動かしてみる。

(できるだけ、ベロだけ動かすことを意識して、顔はそのままで!!)

🍎ブクブク・ガラガラうがいや歯磨き (お口の感覚を高めるために)      

 ➡冷たい水でのうがい、歯ブラシで歯ぐきやほっぺの内側をマッサージする。

  

以上、簡単でしょ? 日常の生活に楽しい工夫を加えてみてださい。

 

これから、紹介していく遊びの参考にしたいと思います。
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関連記事 ことばの相談について

                 発音のおはなし① 

                 発音のおはなし②

                ことばあそび②おちたおちたアレンジ

発音のお話②大人が発音の見本に

こんにちは、言語聴覚士Sです。

前に、発音の発達についてお話しました。

今日は、発音の発達を促すための関わりについていくつかポイントをお話したいと思います。

 

1)大人が「ゆっくり、はっきり聞きやすい発音」で話しましょう。

 小さな子どもはことばを聞く力、聞き取る力はまだとても未熟です。大人でも英語で、早口でペラペラしゃべりかけられるとお手上げだけど、ゆっくり話してくれれば分かる状態に似ています。

 日本語は、「子音と母音」で成り立っています。どういう音の組み合わせで成り立っているのかを際立たせるために、大きく口をあけて「はっきり、ゆっくり」話すことで子どもは聞き取りやすくなります。

2)「いってごらん」と試したり「ちがうでしょ。か・め」等と言い直しをさせないようにしましょう。

 「発音のはっきりしない子」「発音を間違える子」は、例えば”かめ”を「ため」と言う子どもも子ども本人は「かめ」と言っているつもりで、まだ自分が正しく言えていないことに気づかない子も多いです。その為に、何度も「”かめ”といってごらん」と言われると😧「かめって言ってるのに!」と混乱してしまいます。

また、「ちがうでしょ」と言われると 🤔「ため(🐢)じゃないの?」と、また混乱してしまいます。

3)間違った発音をしたら、正しい発音をさりげなくしめしましょう。

 🐢を「ため」と子どもが言う時は、何を伝えたいのかを汲み取り、「そうだねかめだね」と、「ゆっくり、はっきり」話して聞かせてあげてみましょう。

 

今後のブログの参考にしたいと思います。
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関連記事 ことばの相談について

     発音のおはなし①

     発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら①

 

発音のお話①発音の発達

こんにちは。言語聴覚士Sです。今日は発音の発達のお話です。

言葉がはなせるようになると、発音が気になるようになりますよね。

発音の発達は個人差がありますが、いくつか特徴があります。

 

 

発音発達の特徴 

①「サ」「ザ」行、「シャ」行、「ラ」行の音、「ツ」はおおむね4歳以降に完成し、それ以外の子音は4歳ごろまでに完成します。

 たとえば、”さかな”が「しゃかな」「ちゃかな」になる等は、発達の過程でよくみられる誤りですので、お口の動きが上手になってくると「さかな」と徐々に言えるようになることがあります。

②それぞれの音が出始めて、完成するまでの間には、言えたり、言えなかったりという状態をいったりきたりします。ことばの音の並びによっていいにくかったり、言いやすかったりします。

たとえば「さかな」は言えるけど”おかあさん”が「おかあしゃん」となる等、音の並びやことばの長さで言えない事もあります。

③それぞれの音の出現時期・完成時期については個人差が大きいです。発音も「ことばの発達」の一部ですのではっきり言えなくてもお子さんとことばでやりとりをすることがとても大切です。

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関連記事 ことばの相談について

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     発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら①