食べる⑦ 姿勢(椅子)の見直しポイント

食事の際の正しい姿勢

幼児も小学生も大人も体の大きさは違っていても、重要ポイントは同じです。

子どもは体の大きさが変わっていくので

食事中、子どもの姿勢や噛まずに食べているなど態度が気になる場合は

椅子などの環境についても見直してみてください。

しっかり噛む、飲み込むためには姿勢がポイントとなります。

座って食べる時ポイント

椅子に座って食べる場合は、

テーブルと座面の高さを合わせる→肘と膝の角度が直角になっているか

テーブルとの距離は座った時のお腹の前にこぶし1個分の隙間がある程度

・足裏がついた状態で背筋を伸ばして座る→腰と膝の角度が直角になっているか

 足がぶらぶらしていないか、座面がお尻から膝裏まであるか

再CHECKしてみてください。

 

発育状態によっては足裏がつかない場合があります、腰がすわっていない、椅子に座るのを嫌がる場合は無理じいさせないようにしましょう。

離乳食中期や、一人で座れない(腰がしっかりと座っていない)頃に

抱いて食べさせる時は

上体の角度大体45度くらいを目安にします。背筋を伸ばして座って食べることがベストです。

しっかり噛むためには下あごを動かす必要があります。そのために首が上を向いてしまうと噛みにくく、食べにくくなってしまいます

顎を引きぎみにしたリラックスした姿勢

少し口を開けた状態の時に舌の面と床と並行になるようにすること

に気を付けてください。

離乳食や姿勢についての詳しくは、

倉敷市,食育ポータルhttps://www.city.kurashiki.okayama.jp/rinyushoku/

 


関連ブログ:食べる⑤発達は順番に

食べる⑥ステップアップのサイン

参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

 

食べる⑥ステップアップのサイン

離乳食の開始のサイン

哺乳反射(探索反射、吸啜反射)が消えてきて、ミルク以外の食物に興味を持ち始めた頃。

首が座り、赤ちゃん用の椅子に自分ですわっていられることが出来るようになってくる頃に始めましょう。

この頃は、上唇はほとんど動きません。舌を前後に動かしちゅーちゅーと吸うような動きや、下唇をパクパクするような動きをします。

中期に進むサイン

徐々に唇がしっかりと閉じられ、口角が左右にキュッキュッと引っ張られるような動きが出来るようになったら、舌と上あごで押しつぶして食べることができるようになっています。

後期に進むサイン

さらに、食べ物が入ってきた時に唇を閉じて、口角が片方に縮んだりずれたりするようになれば、柔らかい形のあるものをすりつぶしたり噛んだりできる準備が始まっています。

その子の成長ペースに合わせて、安全に気を付けて自分で食べることも見守りながら美味しく、楽しく食べる経験を積んでいきましょう。


参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

食べる⑤発達は順番に

体の発達と同じように、食べる機能にも発達の順番が有ります。

お口の動きは、体の動きの発達に比べて見えにくいため、どのくらいの成長段階なのか分りにくいですよね。
ハイハイをしている赤ちゃんが走れないのと同じで
お口の発達が未熟な子に大人と同じものを食べさせるのは無理があります。

例えば、離乳食を始めたばかりの赤ちゃんには、おにぎりやパンはまだまだ食べられません。

育児書に書かれた離乳食の時期を参考にしつつ、子どもの口の動きからどの時期に食事を進めていくかを決めていけるといいですね。

食べる機能の発達

時期は個人差がありますが、発達の順番は下のように進みます。
体の発達と同じように一気にジャンプして、突然大人と同じご飯が食べられるようにはなりません。

正しい「食べる動き」を繰り返して経験することで、ゆっくり時々休みつつ、その子のペースで発達が進んでいきます。


  哺乳期   ミルクを吸って飲む
         
離乳食初期   唇を閉じて、食べ物を取り込んでから飲み込む。
         ↓
離乳食中期   舌と上あごで押しつぶす
         ↓
離乳食後期   歯や歯茎ですりつぶす


参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

食べる④歯みがきは食べるを育てる準備

乳歯は、抜け替わるから虫歯になってもいい、というものではありません。
虫歯が進行していくと歯の痛みだけでなく歯が溶けていきます。

そうなると、前歯で食べ物をかじりとれなくなったり、奥歯で食べ物をすりつぶせなくなります。
食べにくさや、痛みから柔らかい物しか食べられなくなってしまいますよね。
唇や舌を使う経験をする機会をみすみす減らしてしまうのです。

「歯磨きを泣いて嫌がるからできない。」
と思われている方もいるかもしれませんが、子どもは自分からお口の中に物が入ってくる練習を指しゃぶりや玩具しゃぶりでもしていますので、スモールステップで歯磨きに慣れていきましょう。
しっかり見守りができる環境であれば歯ブラシを子どもが自分で持ってもいいでしょう。口の奥に突き刺さりにくく設計された歯ブラシが今は発売されています。

「初めての歯ブラシ」と検索してみてお子さんに合ったものを探してみてくださいね。

まずは、玩具かじりのように安全に配慮された設計の歯ブラシを自分でなめたりかじったりするところから始めてみるといいかもしれません。

機嫌がいいときに、大人が手伝いながら少しずつ慣れていきましょう。

美味しい味の子ども用ハミガキペーストもいいですね。

 

歯磨きを始めるのに「早すぎる」はありません。

歯磨きをどうすすめていけばいいか悩んだ時は、市の乳幼児健診などを機会に歯科医師や歯科衛生士の方に相談してみるのもいいでしょう。

 


関連記事 発音を育てる(うがい)

参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

食べる③玩具しゃぶりは自食の準備

前歯が生えてくる時期になると、お口を左右非対称に動かしてモグモグするようになってきます。
これは、食べ物をすりつぶす動きが出来るようになってきたサインです。

このサインが出始める頃は、玩具しゃぶりや玩具噛みが盛んになってきます。
大きめの食べ物を自分で手づかみで食べようとするしぐさも見られるようになるでしょう。

色々な形、硬さ、味のあるものを舐めたり噛んだりする事で食べられるものと食べられないものを知っていきます。
また、どのくらいの量を入れても大丈夫なのかも試行錯誤して学習していきます。
他にも、お口の中に硬いものが入ってきた時に過剰に反応をしなくなるための練習でもあります。

まだまだ、食べ物を口の中に詰め込んで窒息の危険があったり、誤って食べてはいけない物を飲み込んでしまったりする事がある時期なので
赤ちゃんから目を離してはいけませんが、できるだけ「自分で!」を大切にしてあげていっぱい経験をさせてあげてくださいね。


関連記事:発音を育てる(舐める食べる)食べる②指しゃぶりは哺乳の準備

参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

食べる②指しゃぶりは哺乳の準備

指しゃぶりはお腹の中にいる頃から始まっています。そして、生まれてから必要な栄養であるミルクを飲むための大切な練習です。
しかし、永久歯が生え始める5歳ごろになっても指しゃぶりをしている場合、前歯だけでなく奥歯の歯並びや顎の成長にも影響が出てくることがあります。
その結果、食べ物を飲み込む時に普通はしない舌を出しながら飲み込む動きがでたり、口呼吸が多くなり風邪をひきやすくなったりする影響もあります。

指しゃぶりはいつから対応したらいい?
3歳までの生理的な指しゃぶりは見守って大丈夫だと言われています。
3歳を過ぎて保育園や幼稚園に入ると生活環境が大きく変化することで、自然と指しゃぶりが減ってくる子もいます。
しかし、環境の変化に不安を感じて指しゃぶりの頻度が増えてしまう子もいます。
その場合は、指しゃぶりではなくその子の不安を軽減する為に、ご家族や園の先生と様子を観察してあげてください。
3歳から5歳くらいの間に徐々に減ってくるようならのんびり成長を見守ってあげましょう。
ただ、5歳以上になってもよく指しゃぶりをしているようなら、小児科医師や歯科医師にも相談してみましょう。

無理のない目標設定で

お家では、好きなテレビを見ている時間は指しゃぶりをしないようにぬいぐるみやお人形を両手で抱っこしてみる。
寝かしつけの時間は、お父さんやお母さんと手を繋いで寝る。
1週間の間に2~3日指しゃぶりをしていない。 などなど…
出来る範囲での目標を決めて、出来たらカレンダーにシールやスタンプを押すなど目標がクリアできたことを子どもの目で見て分かる様に工夫してあげましょう。
ゆっくり、焦らず自信をつけてあげつつ指しゃぶりからの卒業が出来るといいですね。


参考書籍:金子芳洋ほか,上手に食べるために(発達を理解した支援),医歯薬出版株式会社,2005

食べる①

 

 

 

 

 

 私たち、言語聴覚士は「話すこと」や「聞くこと」などのコミュニケーションに障害を持った人や「食べること」に障害を持った人に対して、検査や回復するためのリハビリテーションを一緒にしていくことを仕事としています。

 ことばの育ちには、口や舌、唇を動かすことが密接に結びついています。以前「発音のお話③」や「発音を育てる(食べる)」でも書いていますので是非読んでみてくださいね。

 正しい発音をする為に必要なお口の中を刺激したり、舌を思い通りに動かす練習を毎日できる場面。それは「食事」です。
 食事で、お口を動かすたくさんの経験を子どもにさせる為に、赤ちゃんが食べる準備の為にしている事やお口の中の環境をより良く保つためにできる事。また、食べる事の成長を見ていくポイントを次回から書いていきたいと思います。

発音をそだてる(食べる)

こんにちは

もうすぐクリスマスですね!

 

 

 

以前 発音のお話発音を育てる生活動作と遊び でもご紹介した正しく発音する為に、必要なお口の中の感覚を刺激したり、舌を思い通りに動かす練習を楽しく行う為に「噛むこと」「なめること」とご紹介しました。

それが、一度にできることと言えば食事です!

そこで、凍らせたフルーツをおやつにしてみるのはいかがでしょうか?

一口大に切ったバナナやイチゴをバットやタッパに並べて凍らせてから美味しく食べる。

それだけです。(小さなお子さんは、生のフルーツを冷やすだけ)

凍ったフルーツを右の頬、左の頬に移動してみましょう。いつもより硬いフルーツを噛んだり、お口から出てこないように、口をしっかり閉じたりすることで発音に必要な部分をしっかり動かすことが出来ます。

そして、冷たいことで口のどこにあるかをしっかり意識することが出来ます。

おいしくお口の運動をしてみてください。

丸飲みや窒息などの危険があるので食べている間は目を離さず安全に気を付けて美味しく食べてくださいね。

ブドウなど、小さいものでも丸くてつるんとしたものは誤って丸飲みしやすいので必ず半分に切ってから凍らせましょう。

発音を育てる(舐める食べる)

 こんにちは、言語聴覚士Sです。

 今日は、お話③発音を育てる生活動作と遊び でもご紹介した、「舐める」「食べる」についてお話したいと思います

舐めるとは

 

 舐めることはどうして発音の発達に役に立つのかをお話したいと思います。

 赤ちゃんにとって舐めるという事は、その物がどういう硬さかどんな触り心地かを確かめることが出来るだけでなく、舐めたり噛んだりすることで舌や唇の動きの成長に大切な刺激を沢山受けることが出来ます。

 その刺激は脳の発達や食べる機能等の発達にとても大切な刺激です。

 物を舐めている時、物の感触だけが脳への刺激になるのではなく、「唇や舌、歯茎に物が当たっている」という刺激も脳に送られます。

 それらを総合して、その物がどんなものかを知っていきます。

 同時に自分の唇や舌がどんな形かどんなふうに動くかということも知っていくことが出来ます。

 それは赤ちゃんの脳の発達だけでなく、発音の発達に対しても重要な行動です。

 自分の唇や舌がどのような形でどのように動くかを知ることは、正しい発音を学習していく上でもとても大切なことです。

食べることも大切

 また、少し大きくなったお子さんは成長とともになんでも口に入れるという事はなくなってくるので、口の中に刺激をうけるチャンスは歯磨きや食事、おやつの時間です。

 しっかり歯磨きやうがいをすることは口をきれいにするだけでなく歯や舌の位置を知る機会にもなります。

 食べることでも、食べ物をちょうどいい大きさにちぎりとったり、ベロで食べ物を噛みやすい場所に置いたりすることで唇や舌を思い通りに動かすことを学んでいきます。

 熱いものを「フーフー」と冷ましたり、ラムネをなめて食べてみたり、ちょっと大きな海苔巻き等をかじったり、たまにはいつも食べるものとは違うものや違う食べ方をしてみてもいいかもしれませんね😊