ことばの最初や最後だけしか言わない

 「りんご」を「ご」と言うなど

 単語の名前の最初や最後だけしか言わない。というご相談を受けることがあります。

 「りんご」と伝えたいのだけれどうまく言えず「ご」と発音したり、「ひこうき」を「こーき」と発音することを専門用語で「ワードパーシャル」と言います。

 こういう、単語の一部だけしか言わない時期は言葉の出始めから2歳代くらいまでは、比較的よく見られます。文も話しているようだけど一部だけしかはっきり聞き取れず 🙁 (何か伝えたいんだろうけど、よくわからないな)ともどかしい経験をされている保護者の方は多いのではないでしょうか?

 発音の未熟さでもありますが、音を覚えておくことや複数の音を頭の中で並べる事の未熟さが原因であることもあります。

 こんな時思わず一文字ずつ復唱させて

   :-) 大人「り」→子「り」

   🙂 大人「ん」→子「ん」

   🙂 大人「ご」→子「ご」

   🙂 大人「りんご」→子「ご」

 と言わせたくなってしまうものですが”りんご”だと言えない。という事はよくあります。

 でも、子どもは“りんご”と言っているつもりなので言いたい気持ちを汲み取って「そう、り ん ご」と正しい言葉をゆっくり、聞き取りやすい発音で復唱してあげましょう。

 何度も聞くことで記憶が強化され音を組み立てる力にも繋がります。

 文字に興味のある子なら、文字も一緒に示してあげてもいいでしょう。

 

 3歳を過ぎても言葉の一部を言うことの方が多く、正しく言える言葉が増えないような時は、専門家と丁寧に様子を見守りながら成長を観察することが必要な事があります。また、ことばを聞く練習やことばを組み立てる練習が必要なことがありますので小児科医や保健師さん、専門家(言語聴覚士など)に相談してみてください。


参考文献

言語委員会言語発達遅滞小委員会(1998)〈S-S法 〉言語発達遅滞検査 を用いた健常幼児の言語能力調査

くらしき健康福祉プラザ休館について

 9月13日(月)から,岡山県に新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が適用されます。倉敷市内においても感染力の強い変異型コロナウイルスの感染症が急激に拡がっています。市民の皆様や大切な家族の命を守るため感染症の拡大防止策として,令和3年9月13日(月)から令和3年9月30日(木)の間,言語聴能訓練室を休止いたします。

 ご利用者様には大変なご迷惑をお掛けいたしますが,何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

  電話、メール、ZOOMでの相談は受け付けていますので、ご利用ください。

      受付時間 9:00~17:00

     電話番号 086-434-9881

喃語②

 赤ちゃんがいろいろな声を発するようになるとコミュニケーションが広がっていきます。そして、喃語が出てくるためには、大人との関わりを楽しいと思う機会をたくさんもつことが大切です。

たくさん笑う 😆 

 まずは、たくさん笑う機会を作っていきましょう。

 クーイング「うー」「くー」など声を出す段階で、身近な人が反応を繰り返していくくと、周囲の反応に対して赤ちゃんは声を出して笑うようになるだけでなく、気に入らない事があると泣くことも増えてきます。こうやって、笑ったり泣いたりして声を出す練習をすることができます。

 この時、赤ちゃんの泣き声や発声に好意的な態度(優しく触れる、柔らかい声で話す)で周囲の人がかまってあげることで、コミュニケーションの楽しさを知っていくことも出来ます。 

話しかける 😛 

 聞く力が未発達な赤ちゃんへの話かけには、少しだけコツがあります。

 講話でも毎回お話していることなので言語聴能訓練室をご存じの方々は「それ、もう聞いた」と思われるかもしれませんが簡単におさらいさせてくださいね。

赤ちゃんへの話しかけのコツ

ゆっくり

はっきり

みじかく

くりかえす

 赤ちゃんは聞く力や覚える力が、まだまだ未熟です。

 一度に多くの内容を、大人に話すのと同じ速さで聞かされても

 覚えきれないし、すべてを正しく聞き取ることが出来ません。

 そこで、4つのコツ🍎ゆっくり🍎はっきり🍎みじかく🍎くりかえす

 を気をつけて普段のお世話の中で話しかけることで、赤ちゃんが大人のことばに興味を示しやすくなり、ことばの獲得につながっていきます。

 

中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019

阿部五月, 藤永 保,田中規子(2001) 発達初期の理解語彙の獲得(Ⅱ) 家庭訪問調査(1)

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喃語①

喃語①

 赤ちゃんが「ぶぶー」「まんま」など二つ以上の音を発することを「喃語(なんご)」といいます。

 喃語は言葉の発達過程にみられ「コミュニケーションの始まり」でもあります。赤ちゃんと楽しくやり取りしてみましょう。

喃語が出るまでの過程

泣く

 生後間もなくから、赤ちゃんは泣くことで「気持ちわるい!」「お腹すいた!」と泣くことで知らせてくれますが、まだこの段階では不快な事を知らせているだけで「おしめを変えてほしいんだー!」と、してほしいことを知らせようとしているのではないそうです。

 それでも、泣けば「気持ちよくしてくれる」「お腹いっぱいにしてくれる」と言う事知っていく大切な機会になります。

クーイング

生後2ヵ月頃を過ぎると、「あー」「くー」とご機嫌に声を出すようになります。

徐々にあやされると笑ったり、手足をバタバタしたりするようになります。

赤ちゃん自分から、身近な大人に笑いかけたりとするようになるのもこの頃です。

赤ちゃんの声をまねしたり「ごきげんだね」と優しく返事することでコミュニケーションをしましょう。

赤ちゃんも、大人の声や動きをまねたりしてやり取りらしい関わりができるようになってきます。

喃語

4~6ヵ月頃以降。首も座り自分の体を支える力がついてくると喃語が出始めます。

唇や舌を使っての「ぶー」「だー」から次第に「あむあむ」「んまんま」などの色々な音を出すようになります。

喃語は、人とのコミュニケーションの楽しさを知っていく第一歩です。意味のない音に聞こえますが、クーイングの時と同様に声を真似たり、返事をしてあげながら声を出すことを楽しめるように相手をしてあげましょう。


中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019

阿部五月, 藤永 保,田中規子(2001) 発達初期の理解語彙の獲得(Ⅱ) 家庭訪問調査(1)

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喃語②

ことばあそび⑪「だれのこえ?」

こんにちは。言語聴覚士Kです。

ことばあそび ⑪

お出かけ中の車の中など、どこでもできますよ。

お子さんとのことばあそび、ぜひやってみてください。

【対象】 年少~

【ねらい】
 (1)注目する

 (2)音を聞く

 (3)ことばをふやす
  

【できるにんずう】 2人以上

【やりかた】

1.もんだいを だす ひとは 「ワンワン だれのこえ?」 🙄 ?と 

  たずねます。

2.「いぬ」 など答えられるかな?

 お子さんと保護者の方と順番に問題をだしあってみましょう。

 自分で問題を考える練習にもなりますよ。

 他にどんな動物(ねこ・やぎ・とりなど)がどんな鳴き声をしているか、お父さんやお母さんの声の真似っこなど、色んな声を考えてみたり、探してみたりしても楽しいですね。

機能性構音障害

 言語聴能訓練室の発音の相談で最も多いのが、このタイプです。

 「サ行が言えない」「発音がはっきりしない」「ことばが遅い」等で相談に来られることが多いです。 

 今まで「発音のお話」で書かせていただいている記事は、この機能性構音障害について書かせていただいています。

 大体は、発音の発達過程でみられる子音の誤りであることが多く、経過を観察する中で自然と正しい発音を獲得することが可能な時もありますが、そのまま癖になってしまうこともあります。

 中には発音の発達の過程では普通は出現しない誤りをする子どももいます。その場合は自然に正しい音を獲得できる場合は少なく、練習が必要になることが殆どです。

 機能性構音障害の誤りは、構音訓練で正しい音を獲得できることが多いです。

 誤り方によっては、聞き手が全く違和感を感じない状態になるには時間がかかることもあります。

 構音訓練をすることで、学校の本読みや電話では気を付けて正しく発音することが出来るけれど、リラックスしてご家族と話している時は誤りがあるなど、その子によって普段から気を付けられる度合いが違います。発音の誤りに自分で気づき、目的の音を数回の言い直しで正しく言えるようなら問題ありません。

 以前も「発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら」で書かせていただいたように、機能性構音障害は早期に構音訓練を行う方が良いとは限りません。

 「発音のお話②大人が発音の見本に発音のお話③発音を育てる生活動作と遊びを参考に、ご家庭で訓練が開始できる時期まで様子をみてもらえたらと思います。

 機能性構音障害だと思っていても、滑舌や発音の誤りにはごく稀ですが器質性の問題が隠れていることもあります。

 ご家族が「違和感があるな」「これは様子をみてもいいのかな?」と不安な際や相談機関で受診を勧められた際は医師や歯科医師に相談するようにしましょう。

関連記事

構音障害(発音の障害)器質性構音障害運動性構音障害発音のお話①発音の発達

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

運動性構音障害

 運動性構音障害とは、いわゆる脳卒中やALS、パーキンソン病、脳性マヒなど、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

「麻痺性構音障害」や「ディサースリア」ともいいます。

「ろれつが回らない」という状態が多く、話がはっきりしない、鼻声が酷い等の訴えが多数です。話すリズム・速さ・アクセント・イントネーションの異常を併発することもあります。

 原因となる疾患がある為、主治医からの依頼を受けて言語聴覚士が検査、評価を行います。

 訓練で改善は見込めますが、疾患による運動障害そのものを改善することには限界があります。発症前と同程度に自然な状態に戻ることは容易ではなく個人差がすごく大きいです。

 どのようなリハビリをどのように進めていくかは主治医である医師としっかり相談しながら行うことが大切です。

 ある日突然に「ろれつが回らない」「言葉がうまく話せない」という症状が出た際にはただちに病院受診をしましょう。


参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

再開のお知らせ

 新型コロナウイルス感染症対策として臨時休館しておりましたが、岡山県に発令されている緊急事態宣言の解除に伴い令和3年6月22日(火)より利用を再開いたします。

 ご相談の方は電話でご連絡いただくか、お問い合わせメールフォームよりご連絡ください。

TEL 086-434-9881 (火曜日~土曜日 9時~17時)

器質性構音障害

 発音で言語聴能訓練室に相談に来られる方の中には「器質性構音障害」の可能性がある方がおられます。

 言語聴能訓練室で、もっとも多いのは歯科等で「舌小帯短縮症と言われた」と相談に来られる方です。

 医師や歯科医師に診察を受けたことがない方は、受診をお勧めします。

 医師、歯科医師が発音に関与する各器官の形態や動きを診察し、必要な治療や方針を判断します。

 言語聴覚士は、医師、歯科医師の診断、治療と方針の中で訓練が必要だと判断があった方を対象に改めて発音の検査を行い訓練を始めます。

 舌小帯短縮症では「サ行」「タ行」「ラ行」がうまく言えない、と言われる方が多く、機能性構音障害と誤りの出る音が似ています。


 また、鼻に食べ物が逆流しないようにする蓋の部分が十分に塞がらない、塞がりにくい状態になる「口蓋裂」があります。

 口蓋裂(口の中の上のザラザラ下部分から柔らかい部分の一部、またはすべてが生まれつき塞がっていない状態)の方の症状です。

 ほとんどの場合、生まれてすぐに発見されます。

 けれど、口の中を見て一見問題ない場合でも粘膜の下の筋肉だけが塞がっていないことがあり発見が遅れることも稀にあります。

 声が鼻にかかる、ふがふがした声、咳払いのような声の場合「鼻咽腔閉鎖不全」の可能性があります。

 鼻咽腔閉鎖不全は、口蓋裂以外の原因でも起こることがあります。

 医師、歯科医師が診なければ形の異常が分かりにくい場合もあるので、医療機関の受診を勧められた時には早めに受診して、必要であれば原因に対しての治療を受けましょう。

 

 

 ・人より少し口が小さいようだ

 ・舌が長いような気がする

 ・少し歯並び悪い……等など

 「比べてみれば、ちょっと大きさや見た目が違う。」

    という程度であれば、殆どは正しい発音に影響を与えることはありません。例えば乳歯から永久歯への抜け替わりで、前歯がなくても正しい発音が身についていれば発音にほとんど影響はありません。

 もちろん、心配な時には医師、歯科医師へ相談をするようにしましょう。発音に影響がない場合でも、呼吸や歯の健康の為には治療が必要なことがある為、自己判断はお勧めしません。

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

構音障害(発音の障害)

 言語聴能訓練室には、発音の相談が沢山寄せられます。

 そこで、正しく発音できない原因について、ざっくりですがお話してみたいと思います。

 正しく言葉を発音できないこと、を専門用語で「構音障害」といいます。

 構音障害は大きく分けると、聴覚に障害によって正しい発音が学習できないもの、形の問題、運動の問題、明らかな問題のないもの、4つに分類できます。

(1)聴覚の問題によるもの

 聴覚性構音障害は、いわゆる難聴により手本となる正しい発音や自分の発音を聞き取れないために、正しく発音することを学習できず、発音に障害が生じる状態をいいます。

(2)形の問題によるもの

 病気やけがのために、音を作る時に使う器官(口、舌、喉、鼻の辺り)の一部が欠損したり、形が違うために起こる発音の問題で「器質性構音障害」と呼ばれます。

 先天的なものとしては、お口の中やくちびるが生まれつき割れている状態の口蓋裂、口唇裂。ベロの下の筋が短くベロが引きつってしまう等の舌の形態の異常で舌小帯短縮症などがあります。

 後天的なものとしては、がんなどの切除手術によるものが代表的です。

(3)運動の問題によるもの

 脳卒中や脳性マヒ等、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

 「運動障害性構音障害」や「ディサースリア」といいます。

(4)明らかな問題のないもの

 言語聴能訓練室でもっとも多く相談にこられるのがこのタイプです。

 上記のような明らかな原因はなく発音に誤りがあることを「機能性構音障害」といいます。

「カ行音」「サ行音」が「タ行音」になる、「キ」が「シ・チ」に似た音に聞こえるといったように、発音に関係する器官の形に問題がなく脳や神経、聴覚などに問題がないにもかかわらず発音がうまくできない状態です。

 次からは、それぞれのタイプについてもう少し詳しくお伝えします。

 

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992