様子見と言われたら確認すること

言葉の発達はお子さんによって個人差がとっても大きいため、相談機関や病院で相談しても

「様子を見ましょう」

と言われることは少なくありません。滑舌の悪い子や、発音が違う子。言葉が少ない子。逆にずっとしゃべっている。という子もいますよね。様々な心配事があるかと思いますが、決心して相談したのに

「様子を見ましょう」

と言われると安心される方もいらっしゃる一方、心配が募ってしまう場合もありますよね。

様子を見ましょうという言葉には
「(年齢的に心配ないからこのまま大きくなれば、自然とよくなりそうだけど念のため一定期間して改めて相談してもらうために)様子を見ましょう」

「(今後成長とともに問題なくなる可能性もあるし、お子さんの困り感につながる状態になる可能性もあるので、一定期間を経て、改めて検査や評価をする必要があるので)様子を見ましょう」等があります。

そこで「様子を見ましょう」と言われたときに気を付けて確認しておきたいいくつかの事を【発音の誤りを相談した場合】を例に挙げてみます。

①様子見はいつまで?
  一定の年齢や子どもが言えないことを気にしだす頃。

②何に気を付けて様子を見る?
  子どもが言いにくさを気にしているか、ご飯をしっかり噛んでたべているか等。

③様子見の間、生活や園での関わりで出来ることはあるか?
   発音の誤りを指摘したりせず、正しい言葉をさりげなく聞かせてあげる。

 

相談してくださる方から上記3つの事を「どうすればいいの?」と聞いてくださると、相談窓口でもより具体的なお話をしてもらえるかなと思います。


関連記事

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら①

言葉の相談に行ったら親子教室を勧められた①

☆受験で合理的配慮を受ける

吃音だけでなく様々理由によって配慮が必要な場合、筆記試験や面接で合理的配慮を申請することが出来ます。

配慮の内容は、障がいや疾病によってそれぞれです。

中学・高校入試の面接で合理的配慮を受けたい

県立高等学校をへ入学を希望される皆さんへ と言う冊子には

特別な配慮が必要な方は、余裕をもって中学校へ相談してください。

と書かれています。

岡山県立高校の入試でも多くの学校で面接があります。

県立中学校の入試では、3校とも面接がありますが、事前の相談によって合理的配慮を受けることが可能です。

吃音に対しての面接時の合理的配慮の例は以下が挙げられます。

・ことばが詰まっても話しの続きを促さない

・大きな声を促さない

・面接時間の延長

・筆記での対応

配慮事項については

適正検査及び面接を受験するに当たり、病気や傷害等等の事情により時別な配慮を必要とする場合、保護者は、事前に志願校と十分に相談する。

とあります。

また、文部科学省では

(高校入試を実施側に求められる対応)

〇医師の診断書の発行に時間を要する場合等もあることから、申請方法等の明確化を図ること。⇒ 申請方法(申請時期、申請先、必要な書類など)、決定時期、再申請の方法など

〇合理的配慮は一人一人の障害の状態や教育的ニーズに応じて決定されるものであることから、申請を不許可とする場合は、その理由を具体的に説明する必要があること。

〇受験上の配慮事項を決定するにあたっては、中学校において行われている配慮や支援の内容が参考になることから、中学校と高等学校が連携を図るなどして、積極的に情報共有を行うこと。

と合理的配慮を受ける際に医師の診断書を発行するには時間がかかる為、どのような書類を準備すればいいのか、入試を実施する高校側が明確にすることを求めています。

どのような書類が必要か、まずは在学校を通して中学校、高校に問い合わせてみてください。

大学入試の面接で、合理的配慮を受けるには

大学受験においての合理的配慮の申請は、各大学のホームページに申請方法が記載されています。

例えば倉敷市立短期大学では、募集要項の令和5年度学生募集要項 38ページに合理的配慮について記載されています。大学の多くは出願前に早めに相談することが求められていますので、志望する大学に予め何が必要なのかも含めて相談の連絡をすることをお勧めします。

各種検定について

受験する検定によっても配慮が受けられる場合があります。

まず、どのような書類が必要なのか?どのように申請するのか?各検定の協会のホームページで確認してみましょう。

言語聴能訓練室は、医療機関ではなく医師もいないため、診断書等は書けませんが、かかりつけの先生や学校の先生に、吃音について「どのように説明したらいいのかな?」など、お悩みの場合にはご相談ください。


関連コンテンツ:小・中・高校生のみなさまへ

   参考書籍:菊池良和著,吃音の合理的配慮,学苑社,2019

 参考・引用HP:学苑社HP

         英検:障がい等のある方へ受験上の配慮

        10話: 国立大学医学科を合格した吃音受験生への配慮の診断書

        合理的配慮の提供

令和6年度 くらしき健康福祉プラザまつり 

 令和6年11月23日(土)にくらしき健康 福祉プラザまつりが開催されました。

言語聴能訓練室では、子どものことばについてのパネル展示、嚥下に関するクイズ

などを実施しました。

ご家族一緒に参加して、ことばや食べることへの知識を

楽しくアップデートしていただけたのではないかと思います。

ご来場くださった方、ありがとうございました!

令和6年度 プラザまつりのお知らせ

2024年11月23日(土・祝日)はくらしき健康福祉プラザまつりを行います。

言語聴能訓練室(2階 201研修室)は 食べることについてのパネル展示やクイズ

など行います。

ご質問やご相談などありましたらお気軽に声をおかけください!

くらしき健康福祉プラザまつりの開催について 詳細は下記をご覧ください。

https://kgwc.or.jp/plaza/

はつおんあそび⑤パズルで音韻遊び

パズル遊び 4~6歳 こどもと一緒に遊ぶ時におすすめです.

仮名への興味が出始めた頃に

パズルで音韻遊び はいかがですか。

[目的]

はなしことばを増やす

音韻意識を高める

[方法]

・どうぶつや生活用品のイラストを

名前の音の数だけ切り分ける。

仮名文字付きがよいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

・絵(パズル)をあわせながら

いくつの音、どんな音でできているか

意識しながらやってみてください。

 

発達段階に合わせること

子どもに興味をもたせ、無理強いはさせない

安全に配慮すること(誤飲など)

に気をつけて楽しい時間を過してください。

関連記事

発音のお話①発音の発達

発音のお話②大人が発音の見本に

ことばあそび⑥おとはいくつ?

☆発音の発達を促す関わり

今日は、発音の発達を促すための関わりについていくつかポイントをお話したいと思います。

 

1)大人が「ゆっくり、はっきり聞きやすい発音」で話しましょう。

 小さな子どもはことばを聞く力、聞き取る力はまだとても未熟です。大人でも英語で、早口でペラペラしゃべりかけられるとお手上げだけど、ゆっくり話してくれれば分かる状態に似ています。

 日本語は、「子音と母音」で成り立っています。どういう音の組み合わせで成り立っているのかを際立たせるために、大きく口をあけて「はっきり、ゆっくり」話すことで子どもは聞き取りやすくなります。

2)「いってごらん」と試したり「ちがうでしょ。か・め」等と言い直しをさせないようにしましょう。

 「発音のはっきりしない子」「発音を間違える子」は、例えば”かめ”を「ため」と言う子どもも子ども本人は「かめ」と言っているつもりで、まだ自分が正しく言えていないことに気づかない子も多いです。その為に、何度も「”かめ”といってごらん」と言われると😧「かめって言ってるのに!」と混乱してしまいます。

また、「ちがうでしょ」と言われると 🤔「ため(🐢)じゃないの?」と、また混乱してしまいます。

3)間違った発音をしたら、正しい発音をさりげなくしめしましょう。

 🐢を「ため」と子どもが言う時は、何を伝えたいのかを汲み取り、「そうだねかめだね」と、「ゆっくり、はっきり」話して聞かせてあげてみましょう。

 

 

関連記事 ことばの相談について

 

 

☆発音のお話

今日は発音の発達のお話です。

言葉がはなせるようになると、発音が気になるようになりますよね。

発音の発達は個人差がありますが、いくつか特徴があります。

 

 

発音発達の特徴 

①「サ」「ザ」行、「シャ」行、「ラ」行の音、「ツ」はおおむね4歳以降に完成し、それ以外の子音は4歳ごろまでに完成します。

 たとえば、”さかな”が「しゃかな」「ちゃかな」になる等は、発達の過程でよくみられる誤りですので、お口の動きが上手になってくると「さかな」と徐々に言えるようになることがあります。

②それぞれの音が出始めて、完成するまでの間には、言えたり、言えなかったりという状態をいったりきたりします。ことばの音の並びによっていいにくかったり、言いやすかったりします。

たとえば「さかな」は言えるけど”おかあさん”が「おかあしゃん」となる等、音の並びやことばの長さで言えない事もあります。

③それぞれの音の出現時期・完成時期については個人差が大きいです。発音も「ことばの発達」の一部ですのではっきり言えなくてもお子さんとことばでやりとりをすることがとても大切です。

 

関連記事 ことばの相談について

 

ことばあそび⑬手探りゲーム

【ことばあそび】第13弾
今日は【手探りゲーム】をしてみたいと思います

【できる人数】2人から

【対象】4歳以上

【めあて】
 ルールの理解
 形をイメージする
 語想起
 名前が分かる
 用途が分かる

【よういするもの】
 ①中身の見えない箱(袋でもいい)
 ②手で触っても危険でない物(例:くし、ハンカチ、ブロック、スプーン等)

【やりかた】
 1、問題を出す人は、箱中の中に準備した物を1つを入れて隠す。
   「何がはいっているでしょう」と言って中身を触ってもらう。

 2、答える人は、箱の中に手を入れて中に入っているものを見ずに答える。

 3、答えを確認する。

箱の中に準備した物をいくつか入れて「手を拭く時に使う物を取ってください」となぞなぞを出して、答えになるものを探して遊んでも楽しいです。

見えないところに手を入れるのが怖い時は、入っているものの一部を少しだけ見せて全体を想像して答えてもいいですね。

 

ことばの遅い子②

ことばが遅いのでは?と心配な時に言葉の発達を促す言葉かけについて、少しだけ振り返りたいと思います。

まずは、喃語②でも話したように、聞く力が未熟な子どもへお話するときの

4つのコツは「🍎ゆっくり🍎はっきり🍎みじかく🍎くりかえす」です。

言葉が出る前の赤ちゃんだけでなく、言葉が出始める前から出始めて間もない子どもは、聞く力がまだまだ未熟です。4つのコツで言葉への興味を示しやすくなり言葉の獲得につながっていきます。

単語を話すようになった時期から言葉がつながりだした時期の子どもたちに対し、大人が子どもの気持ちに寄り添って、子どもがその時に興味を持っている物の名前やこどもの気持ちを言葉にして聞かせてあげる「トイトーク」を試してみましょう。

・子どもが”持っている”玩具に対して
・動きを表す言葉と組み合わせて声掛けしてみましょう。

「ぶーぶ、のるよ」
「ぶーぶ、はしってるね」
「さんかく、のせたね」
「おうち、つくったね」

児童館などで行っている「ことばのお話」に来てくださった方は、聞いたことがあると思いますが、子どもが興味を何に向けているかに気を付けながら言葉かけをしていくことが大事です。

コミュニケーションを豊かにするために① で取り上げたように2~3歳になると「~したい」気持ちが増え、たくさん要求するようになります。

要求の多い子どもとはやりとりの回数も増えますよね。

日常場面で子どもが要求してきた際に、表現が足らなくても大人は理解できている状況はよくあると思います。

そんな時も、あえて子どもの意図を読みすぎず、言葉での表現にこだわらず、何らかの表現で要求がでるのを待ってあげる状態にしてみましょう。

子どもがどんな反応をするか、観察してみてください。

要求方法は指さしや身振りでもことばでもOK。

大人が待つことで子ども自身が考える状況をつくってあげることができます

大人も一緒におもちゃで遊びながら楽しくコミュニケーションしてみてくださいね。


関連記事

・コミュニケーションを豊かにするために①コミュニケーションを豊かにするために②☆こどもからの「ちょうだい」を引き出そう

参考文献

田中裕美子(2021),ことばが気になる子どもに早期アプローチことばの遅れと言語発達障害(第 15 回 日本小児耳鼻咽喉科学会
シンポジウム1資料),https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/42/1/42_16/_pdf/-char/ja

奥村優子・小林哲生(2019)日本語レイト・トーカーにおける表出語彙のカテゴリ構成の検討,音声言語医学60

田中裕美子編著(2023)ことばの遅れがある子どもレイトトーカーの理解と支援,学苑社

ことばの遅い子①

言葉が遅いことを心配される保護者の中に「今は2歳で、言えることばが10語くらいなので、次は50語でるようになれば」と目標を言われることがあります。

おそらく、「50語出るようになることが目標」というのは、言語発達の表出語彙が50語を上回ると語彙が爆発的に増加していくという言語発達の特徴から言われていることなのかな?と個人的に考えています。

表出語彙が「50語」を超えて、爆発的な語彙増加が起きる時期は、だいたい1歳半くらいの時期になります。

気を付けたいのは、語発達については、2歳で「50語出てたら大丈夫」というように単純ではないことです。

私個人としても「1歳前後で初語」や「2歳で2語文が出る」は一部の指標でしかないことをしっかり理解しておきたいなと感じています。

今回は、『子どもは大人の言うことがよく分かっていて、コミュニケーションをしようとしているけれど、話せる言葉が少ない』『単語は沢山話すけれど言葉をつなげて話すことが少ない』というようなお子さん達についてお話したいと思います。

お子さんの言葉が「遅いな」と感じている時


🤔言葉の数だけでなく、身振り手振りで伝えようとしているかな?

🤔物の名前だけでなく、様子を表す言葉なども言うようになっているかな?

🤔したい事、やってほしいことを沢山表現できているかな?   など…


にも注目してお子さんとのコミュニケーションを楽しめるといいなと思っています。

言葉の遅い子どもたちの追跡調査では、8~9割は5歳で言語発達が定型発達児に追いつくと言われていますが、もちろん語彙数だけで判断しているのではありません。

しかし、言語発達が平均内に入るようになった子ども達でも学齢期以降も障害とまではいかなくてもストーリーを聞いて覚えてたり理解したりする力、言葉を想起する力などの苦手さが続く子が多いようです。

小さなころ「言葉が遅い」と感じていた場合、周りの大人が「言葉が苦手な子」として理解しておくことは、子どもの頑張りや大変さに気づき寄り添うために必要です。

言語発達が平均の範囲内であっても、子どもが苦手感を感じていたり困っていたりするようであれば医師や専門家の助けを借りることも大切です。

見逃されやすい、言葉の発達だけ遅れる子」でも書かせていただいたように、言葉の遅い子ども達の中には、言語発達の遅れが持続する子ども達もいます。

言語発達の遅れが残る子どもたちも4歳頃には3~4語文レベルで話す為、「会話は理解できている」「追いついた」と安心しがちです。

しかし、少なくとも年長までは丁寧に関わりながらの経過観察が必要だと言われています。

子ども達の困りごとが少しでも減るように、医師や園の先生、言語聴覚士と相談しながら成長を見守っていけるといいなと思っています。


田中裕美子(2021),ことばが気になる子どもに早期アプローチことばの遅れと言語発達障害(第 15 回 日本小児耳鼻咽喉科学会
シンポジウム1資料),https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/42/1/42_16/_pdf/-char/ja

奥村優子・小林哲生(2019)日本語レイト・トーカーにおける表出語彙のカテゴリ構成の検討,音声言語医学60

田中裕美子編著(2023)ことばの遅れがある子どもレイトトーカーの理解と支援,学苑社