こんにちは、言語聴覚士Sです。
発音の相談に行ったら「ようすを見ましょう」と言われた
言語聴能訓練室でも「滑舌が悪い」「言葉がうまく話せない」という相談をよくお受けします。
発音の練習は早ければいいわけではなく、その子に適した練習を始める時期があります。
その時期は、お子さんによって違いますが、4歳~5歳辺りから練習を始めるかどうかの見極めをすることが多いです。
しかし、発音の相談に行っても「様子見」と言われることもあるかと思います。
言語聴能訓練室でも「もう少し様子をみましょう」とお家で気を付けることや遊びをお伝えすることがあります。
以前、発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び では、口を使う遊びや食べることを書かせていただきました。
発音を育てる為には、口だけでなく体を使って遊ぶことや手指をつかうことも大切です。
今日は体を使った遊びや手指を使った遊びがどうして発音(言葉)の発達に大切なのか少しだけお話してみたいと思います。
体を思い通りに動かせることが大切
運動の発達は、全身を使った動きから部分的な動きへ進んでいきます。全身運動レベルでの動きがまだまだ未熟な子どもは、当然指先や構音器官(唇や舌)などの細かな運動もうまくいきません。
また、自分で見える体の部分の動きが上手に出来なければ、自分で見えない体の部分を思い通りに動かすのは難しいです。
発音の相談にいったけれど「様子をみましょう」と言われたり、発音の発達がゆっくりだなと感じたりした際には、まず体を動かす遊びがしっかりできているかを見直してみましょう。
例えば、手を振って走る
走ることは簡単な事のようですが、膝を曲げて足を動かせているか、腕を左右別々に動かすことができているか等、スムーズに走れているように見える時は全身がバラバラの動きをして色々な関節を動かすことが出来ています。
まだ、体の使い方のぎこちない小さな子どもだとペンギン走りのように膝がピンと伸びたままだったり、右手と右足が一緒に前に出ていたりすることがあります。
もちろん、走るだけでなくブランコに乗る、鉄棒につかまってぶら下がる。ジャングルジムを上る等も体を大きく使って遊ぶのには有効です。
ペンを持って線を書くこともいい
また、体を大きく使って遊ぶだけでなく手指を使った遊びもどんどんしてみてください。新聞を破いたり、折り紙を折ったり、はさみや糊を使った工作もいいでしょう。
線を思い通りに書けるように手や腕を動かす、紙を破いたり折ったりすることは、指先を使い、手先や腕等の力加減を繊細にコントロールすることが必要です。
発音はもっと繊細
正しい発音をする為の練習には、唇や舌を数ミリ単位で調整することが求められます。
例えば「さ」と「た」は絶妙な力加減と繊細な動きの違いで発音されます。
更に、発音が正しく言えるようになる為には、他にも様々な条件が必要になってくるのですから、練習を始める時期は子どもによって違ってくるのです。
次からは、発音の練習を始める為に必要な力についてもお話していきたいと思います。
参考文献
加藤正子・竹下圭子・大伴潔編著:構音障害のある子どもの理解と支援
日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992
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