子どものお話する力の3要素

 こんにちは、言語聴覚士Sです。

 今日は「ことばの3要素」についてお話したいと思います。

 言語聴覚士的に「ことば」には3つの意味があります。

 例えばリンゴを見て

1<内言語:知っていること、考えること>

  

(あ、あれはりんごだ。美味しい味のたべもの)と頭の中で考えます

2<コミュニケーション意欲:伝えたい気持ち>

)〇○。

(おかあさんに、食べたいって言おう!)

3<音声言語声に出す言葉>

{りんご!

 「言えることば」は知っていることばが沢山溜まって増えていきます。

 言えることばと知っていることばの関係は氷山の絵でよく表されます。水面に出ている部分が言えることば、水中の見えない部分が分かることばです。

 知っていることばが少なければ、言えることばも少なくなり、逆に知っている言葉が増えれば言えることばも増えます。

 しかし「りんご」という事が分かっていて、声に出して正しく発音し言う事が出来る力がついていたとしても、誰かに伝えたいという気持ちがなければ「りんご」とわざわざ(声に出して言わないでおこう)となってしまいます。

 毎日、色々な経験をし身近な大人が言葉を添えてくれることで、知っている言葉を増やしていくことが出来ます。

 そして、体験したことを一緒にいつも楽しんでくれる大人に自分の気持ちや考えている事を伝えたいという気持ちが育っていきます。

 まだ、ことばが出ない小さな子には、今どんな気持ちでいるのかをよく見て話かけてあげましょう。「あー」「だー」等の喃語や泣き声に返事をしてあげたり、お世話をしてあげたりすることで

(声を出せば気持ちを分かってくれる。気持ちよくしてくれる)

 という繰り返しがとても大切です。

 


参考文献 

中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019