玉島児童館にて
言語聴覚士がお子さんのことばについての個別相談を行います。
ことばでやりとりができない、はっきりとしゃべれない、吃音がある…
普段気になっているけど、なかなか相談できないな…
相談をご希望の方は、玉島児童館までお問い合わせ下さい。
日時:令和6年10月2日(水)10:00~11:30
対象:乳幼児親子
場所:玉島児童館
問い合わせ: (086) 526-3400
【ことばあそび】第13弾
今日は【手探りゲーム】をしてみたいと思います
【できる人数】2人から
【対象】4歳以上
【めあて】
ルールの理解
形をイメージする
語想起
名前が分かる
用途が分かる
【よういするもの】
①中身の見えない箱(袋でもいい)
②手で触っても危険でない物(例:くし、ハンカチ、ブロック、スプーン等)
【やりかた】
1、問題を出す人は、箱中の中に準備した物を1つを入れて隠す。
「何がはいっているでしょう」と言って中身を触ってもらう。
2、答える人は、箱の中に手を入れて中に入っているものを見ずに答える。
3、答えを確認する。
箱の中に準備した物をいくつか入れて「手を拭く時に使う物を取ってください」となぞなぞを出して、答えになるものを探して遊んでも楽しいです。
見えないところに手を入れるのが怖い時は、入っているものの一部を少しだけ見せて全体を想像して答えてもいいですね。
ことばが遅いのでは?と心配な時に言葉の発達を促す言葉かけについて、少しだけ振り返りたいと思います。
まずは、喃語②でも話したように、聞く力が未熟な子どもへお話するときの
4つのコツは「🍎ゆっくり🍎はっきり🍎みじかく🍎くりかえす」です。
言葉が出る前の赤ちゃんだけでなく、言葉が出始める前から出始めて間もない子どもは、聞く力がまだまだ未熟です。4つのコツで言葉への興味を示しやすくなり言葉の獲得につながっていきます。
単語を話すようになった時期から言葉がつながりだした時期の子どもたちに対し、大人が子どもの気持ちに寄り添って、子どもがその時に興味を持っている物の名前やこどもの気持ちを言葉にして聞かせてあげる「トイトーク」を試してみましょう。
・子どもが”持っている”玩具に対して
・動きを表す言葉と組み合わせて声掛けしてみましょう。
「ぶーぶ、のるよ」
「ぶーぶ、はしってるね」
「さんかく、のせたね」
「おうち、つくったね」
児童館などで行っている「ことばのお話」に来てくださった方は、聞いたことがあると思いますが、子どもが興味を何に向けているかに気を付けながら言葉かけをしていくことが大事です。
コミュニケーションを豊かにするために① で取り上げたように2~3歳になると「~したい」気持ちが増え、たくさん要求するようになります。
要求の多い子どもとはやりとりの回数も増えますよね。
日常場面で子どもが要求してきた際に、表現が足らなくても大人は理解できている状況はよくあると思います。
そんな時も、あえて子どもの意図を読みすぎず、言葉での表現にこだわらず、何らかの表現で要求がでるのを待ってあげる状態にしてみましょう。
子どもがどんな反応をするか、観察してみてください。
要求方法は指さしや身振りでもことばでもOK。
大人が待つことで子ども自身が考える状況をつくってあげることができます。
大人も一緒におもちゃで遊びながら楽しくコミュニケーションしてみてくださいね。
関連記事
・コミュニケーションを豊かにするために①・コミュニケーションを豊かにするために②・☆こどもからの「ちょうだい」を引き出そう
参考文献
田中裕美子(2021),ことばが気になる子どもに早期アプローチことばの遅れと言語発達障害(第 15 回 日本小児耳鼻咽喉科学会
シンポジウム1資料),https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/42/1/42_16/_pdf/-char/ja
奥村優子・小林哲生(2019)日本語レイト・トーカーにおける表出語彙のカテゴリ構成の検討,音声言語医学60
田中裕美子編著(2023)ことばの遅れがある子どもレイトトーカーの理解と支援,学苑社
言葉が遅いことを心配される保護者の中に「今は2歳で、言えることばが10語くらいなので、次は50語でるようになれば」と目標を言われることがあります。
おそらく、「50語出るようになることが目標」というのは、言語発達の表出語彙が50語を上回ると語彙が爆発的に増加していくという言語発達の特徴から言われていることなのかな?と個人的に考えています。
表出語彙が「50語」を超えて、爆発的な語彙増加が起きる時期は、だいたい1歳半くらいの時期になります。
気を付けたいのは、言語発達については、2歳で「50語出てたら大丈夫」というように単純ではないことです。
私個人としても「1歳前後で初語」や「2歳で2語文が出る」は一部の指標でしかないことをしっかり理解しておきたいなと感じています。
今回は、『子どもは大人の言うことがよく分かっていて、コミュニケーションをしようとしているけれど、話せる言葉が少ない』『単語は沢山話すけれど言葉をつなげて話すことが少ない』というようなお子さん達についてお話したいと思います。
お子さんの言葉が「遅いな」と感じている時
🤔言葉の数だけでなく、身振り手振りで伝えようとしているかな?
🤔物の名前だけでなく、様子を表す言葉なども言うようになっているかな?
🤔したい事、やってほしいことを沢山表現できているかな? など…
にも注目してお子さんとのコミュニケーションを楽しめるといいなと思っています。
言葉の遅い子どもたちの追跡調査では、8~9割は5歳で言語発達が定型発達児に追いつくと言われていますが、もちろん語彙数だけで判断しているのではありません。
しかし、言語発達が平均内に入るようになった子ども達でも学齢期以降も障害とまではいかなくてもストーリーを聞いて覚えてたり理解したりする力、言葉を想起する力などの苦手さが続く子が多いようです。
小さなころ「言葉が遅い」と感じていた場合、周りの大人が「言葉が苦手な子」として理解しておくことは、子どもの頑張りや大変さに気づき寄り添うために必要です。
言語発達が平均の範囲内であっても、子どもが苦手感を感じていたり困っていたりするようであれば医師や専門家の助けを借りることも大切です。
「見逃されやすい、言葉の発達だけ遅れる子」でも書かせていただいたように、言葉の遅い子ども達の中には、言語発達の遅れが持続する子ども達もいます。
言語発達の遅れが残る子どもたちも4歳頃には3~4語文レベルで話す為、「会話は理解できている」「追いついた」と安心しがちです。
しかし、少なくとも年長までは丁寧に関わりながらの経過観察が必要だと言われています。
子ども達の困りごとが少しでも減るように、医師や園の先生、言語聴覚士と相談しながら成長を見守っていけるといいなと思っています。
田中裕美子(2021),ことばが気になる子どもに早期アプローチことばの遅れと言語発達障害(第 15 回 日本小児耳鼻咽喉科学会
シンポジウム1資料),https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/42/1/42_16/_pdf/-char/ja
奥村優子・小林哲生(2019)日本語レイト・トーカーにおける表出語彙のカテゴリ構成の検討,音声言語医学60
田中裕美子編著(2023)ことばの遅れがある子どもレイトトーカーの理解と支援,学苑社
発達に凸凹があるという時、自閉スペクトラム症やADHDが注目されがちですが
聴覚検査、発達検査に加えて質問紙や行動観察などを行ったうえで、社会性、行動面などにも大きな問題がなく、自閉スペクトラム症やADHDでもないけれど言葉の発達のみに遅れがあるタイプのお子さんがいます。
例えば4歳以降言葉を沢山話すようになってきたけれど
・言葉を話していても文法がなんだかおかしい
・言葉の理解が弱く指示がスムーズに入らない
・人に分かるように説明ができない
・単純な発音の誤りだけでなく言葉の言い誤りが多い
という場合に、言語発達に遅れがあることがあります。
2~3歳の時点で言葉の発達がゆっくりな子さんの多くは、4~5歳頃には追いつくことが多いと言われています。
そのため
「理解がいいから心配いらない」
「知的には問題ないからおいつくよ」
「経験不足だから、園に入れば話すようになる」
と問題ないと判断されがちです。
しかし5歳頃になって、話しも沢山するようになり、コミュニケーションも取れているのに年齢相応の言語発達に追いつけていない子が中にはいます。
就学後に言葉についての苦手さが表面化してきたり学習面に困難を抱えるようになったりする子もいて支援が必要な場合もあります。
2~3歳頃で言葉が遅いなと感じている場合は言葉が出るようになっても、少なくとも就学前後までは言語発達の経過を丁寧に観察していくことが必要だと言われていますので、医師や専門職に相談しながら成長を見守っていきましょう。
参考文献
武田篤他(2001)特異的言語発達遅滞の予後決定因子に関する研究,音声言語医学42(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/42/4/42_4_311/_pdf/-char/ja) (2024.4アクセス)
福田信二(2014)特異的言語障害研究の現状と課題,特殊教育研究52,https://www.jstage.jst.go.jp/article/tokkyou/52/4/52_317/_pdf(2024.4アクセス)
田中裕美子他(2001)特異的言語障害幼児の言語特徴の解明への試み,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcomdis1983/18/1/18_1_2/_pdf/-char/ja(2024.4アクセス)
田中裕美子編著(2023)ことばの遅れがある子どもレイトトーカーの理解と支援,学苑社
3 歳児の頃は 、社会性やことばがぐんと発達する時期です。
幼稚園などの園生活が始まる時期でもあります。
この時期に聞こえに問題があると、ことばの発達を妨げる原因になることがあります。
倉敷市で実際に3歳児健診で使われている聞こえのチェックは、保護者の方への聞こえのアンケートとささやき声の検査、そして指こすりの検査です。
聞こえの問診では、生活の中で聞こえにくさがあるかどうかを確認します。
ささやき声の検査は、聞かせることばによってどのようなことばが聞きにくいのか、聞こえにくさの傾向を知ることができます。
指こすりの検査では、左右の耳を別々に検査するので、どちらの耳が聞こえにくいかを見つけるのに役立ちます。ささやき声検査では見つけられない片耳の聴力低下を発見するのに有効です。
そこで、健診では「指こすりの検査はやり方が分からなかったと」言われることがあるので簡単にやり方をお伝えしたいと思います。
はじめに練習をします。
練習は、子どもの前から、手の動きが見えるようにして指こすりを行います。
「これから耳のそばで指をこするから、カサカサっという音が聞こえたら、聞こえた方の耳を、『こっち』と指さししてね。」と お話してください。
左右どちらかの耳の横で、指をこすって音を聞かせ、聞こえた方の耳を指さしさせます。
左右正しい方向に指さしができたら、チェックを実施しましょう。
①子どもの後ろに大人が立ちます。
「こんどは後ろから耳のそばで指をこするから、カサカサっという音が聞こえたら、聞こえた方の耳を、『こっち』と指さしてね。」とお話してください。
②指こすりをする人は、子どもの耳の真横5cmより少し後ろのところで、親指と人差し指を片耳5~6回こすります。
③子どもの反応は、聞こえた方の手をあげる、指さしする、聞こえた方に振り向くのどれでもOKです。
④指こすりは、左右ランダム(例:右、左、左)にしてください。
4回程度実施し正しく反応できればOKです。
<注意点>
検査は静かな環境で行いましょう(窓をしめる、テレビをけす 等)
指こすりは、乾いた手でしてください。
子どもが後ろを見ていない状態で実施してください。
指が髪に触れないように注意してください。
指こすり検査だけでなく、ささやき声の検査での指差しもお家で上手にできないなと感じたら健診の際に気軽にご相談ください。
また、あくまでも簡易的な検査なので、聞こえについて心配な場合はお近くの耳鼻科で相談しましょう。
3歳児健診で聞こえのチェックがあります。お家での検査やアンケートを行い、健診会場で聞こえのチェックをすることは、軽度・中等度の難聴がないかを見つけ出すために大切なことです。
軽度・中等度の難聴は、普通の声や大きな音は聞こえているのですが、音を正しく聞き分けることや、にぎやかな場所で話を聞くことが困難になってしまいます。
言葉の子音を正しく聞き分けることが難しかったり、集団生活での会話や指示を聞くのが難しい状態なため、自信がないことが増えたり、社会性の発達にも影響を及ぼすことがあると言われています。
聞こえにくさを健診で見つけておくことで、治療ができたり、聞こえにくさを軽減したりすることができ、言葉の発達が遅れないように早期に介入することができます。
出産時に新生児聴覚スクリーニングを受けられているお子さんも増えていますが、その後、疾患などにより難聴になることが稀にありますので、3歳児健診で聴覚についてしっかりチェックしていきましょう。特に、片耳難聴や痛みの出にくい滲出性中耳炎による聞こえにくさは、おうちの人でも気付きにくいため健診をぜひ受けていただきたいと思います。
こどもの「ことば」は生活の中でコミュニケーションをとりながら育ちます。(ことばの発達とメディア:参照)わたしたちは、コミュニケーション能力を伸ばすためにいっしょにする状況は大事だと考えています。
今回は「いっしょにする」についてお話したいと思います。
「いっしょに」のことばの意味を理解できるのはだいたい2~3歳頃からです。
はじめてのことに不安を感じやすい、また人見知りがあるお子さんに「おかあさんといっしょだよ。」と伝えると前に一歩踏み出せる気持ちになれるかもしれません。
うたのおにいさんとおねえさんがでる番組のタイトルにも使われていますね。
こどもにはイメージの良いことばなのでしょうか?
「いっしょに」は、人への興味を持たせ社会性を育てることば として子育てに必須な声掛けのことばの1つなのです。
私たちは、言語訓練の始まりと終わりの挨拶はいっしょに言います(斉唱)。また、帰る時には「いっしょに帰ってね」「手をつないでいっしょに帰ってね」と子どもに声かけをしています。
いっしょにいろんなことをすることで確認する力も育っていくと思います。
いっしょにすることって?例えば?
🍎手をつないでいっしょにあるく
歩き始めは手をつなぐことができても、興味あるものが視界に入るとすぐ手を放すことがあった時に「いっしょだよ。いっしょに行こうね」「いっしょに早くあるこうよ。」などと声かけをしてみてください。歩調を合わせることができるようになったら、(手を放して)横に並んで歩けるといいですね。
以前、おうちでできるあそび として紹介した新聞電車もぜひしてみてください。(ことばあそび⑤新聞電車 参照)
🍎いっしょに数える
お風呂やゲームで数えるなどの時は、数えることに夢中で初めから最後まで同じテンポで数えることが難しいかもしれません。数の理解がまだできないお子さんも、一緒に言い終わるなどを目標するなどして待つ場面をつくってみてください。
繰り返すことで周りの様子を意識し確認できるようになっていくと思います。
参考書籍:湯汲英史,子どもが伸びる関わりことば26 ー発達が気になる子へのことばかけ,2006
湯汲英史,,小倉尚子,一松麻実子,藤野泰彦,発達障害のある子どもと話す27のポイント わかりたい気持ちを高めるために,かもがわ出版,2011