こんにちは、言語聴覚士Sです。
気になる子どもがいるとき
前回までに、吃音の具体的な症状と吃音の問題点を書かせていただき、「ことばの困り感のサイン」についてもご紹介しました。
先生方は、改めて子どもたちの様子を観察してくださったことと思います。
そこで、気になった子どもがいる先生もいなかった先生にも、今日は学齢期の吃音の特徴と吃音以外も気になる子どもについて知っていただきたいと思います。
学齢期の吃音の特徴
学齢期の吃音の特徴としては以下のようなものがあります。ただし、個人差がとても大きくすべてが当てはまるわけではありません。
波がある
吃音の症状には波があります。吃音の波の周期は、個人差が大きいのですが1ヶ月から数ヶ月単位で良い時期と悪い時期を繰り返すことが多いようです。
吃音が出にくい場面と出やすい場面がわかれている場合があります。
例えば、国語の時間の音読場面ではほとんど吃音が出てこない一方で、友達と雑談する時には吃音が多く出てしまう場合があります。また、その逆の場合もあります。
園や学校では、吃音の症状が殆どみられないのに、家では症状が強く出ているという場合もあります。
多くの吃音の人は、独り言をいう、動物や赤ちゃん等しゃべらない相手に対して話しかける、歌を歌う、本読みなど他の人と一緒に読む(一斉読み)等の条件下では吃音はほとんど出ません。
吃音の出やすい言葉と、出にくい言葉があるのも特徴です
吃音の症状が出ることを避けるために、吃音が出にくい言葉に言い換えて遠回しな表現を用いたり(「日曜日」と言う代わりに「3日後に」)等の言葉を言い替える工夫をするようになります。
工夫が全て悪いわけではありませんが、言いたいことをうまく伝えられない経験を積みかさねてしまう事にもつながる可能性もあります。
心理的な問題だけが突出して大きくなっている場合があります
特に学年が上がってくると、本人が話し方の工夫や話す場面を避けることにより、吃音の症状は目立たなくなっていますが「言いたいことが言えなかった」等の思いをため込んでしまう事があります。
先生や周囲の生徒が話し方が気になる、気にならないにかかわらず、本人の困り感に寄り添っていただきたいと思います。
吃音以外にも気になることがあるとき
行動面や学習面も気になる
吃音の子どもの中にも、吃音だけでなく行動面や学習面が気になる子どもや既に支援や配慮をされている子どももいるかと思います。
吃音を持つ子どもの中にも、話し方だけでなく行動やコミュニケーションでも気になる子どももいます。
さらに、併存する障害や疾患に合わせた支援や配慮も必要になります。
発音の誤りがある
また、吃音の子どもの中の多くには発音の問題(構音障害)がある子どもも多くいます。
吃音であっても、構音障害は訓練することでほとんどが正しく発音できるようになります。
ただ、自分の発音に向きあう事が求められる構音訓練を行う事で吃音の症状が強くなることが時にあります。
その為、子どもに負担がかかっていないかを見極めながら慎重に構音訓練を進めていくことが必要になります。
吃音だけでなく、ことばの事で子どもが悩んでいる様子であれば、どのように対応するかご本人、保護者の方と話をしていただきたいと思います。
そして、通級指導教室の先生や専門機関(言語聴覚士等)と連携の中で、どのような支援が必要か相談していただければと思います。
次回の吃音の話は、吃音の子どもが受けたいと思っている支援についてです。
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【おすすめ吃音関連サイト】以下リンクは外部サイトに移動します。
全国言友会(吃音(きつおん)のある人のセルフヘルプグループ)
参考書籍: 菊池良和, 吃音のことがよくわかる本, 講談社, 2015年