あけましておめでとうございます。
令和4年は穏やかな年でありますように。
そして、少しでも皆さまのお力になれるよう、今後も研鑽を積んでいきたいと
思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします 。
言語聴能訓練室 スタッフ一同
もうすぐクリスマスですね!
以前 発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び でもご紹介した正しく発音する為に、必要なお口の中の感覚を刺激したり、舌を思い通りに動かす練習を楽しく行う為に「噛むこと」「なめること」とご紹介しました。
それが、一度にできることと言えば食事です!
そこで、凍らせたフルーツをおやつにしてみるのはいかがでしょうか?
一口大に切ったバナナやイチゴをバットやタッパに並べて凍らせてから美味しく食べる。
それだけです。(小さなお子さんは、生のフルーツを冷やすだけ)
凍ったフルーツを右の頬、左の頬に移動してみましょう。いつもより硬いフルーツを噛んだり、お口から出てこないように、口をしっかり閉じたりすることで発音に必要な部分をしっかり動かすことが出来ます。
そして、冷たいことで口のどこにあるかをしっかり意識することが出来ます。
おいしくお口の運動をしてみてください。
丸飲みや窒息などの危険があるので食べている間は目を離さず安全に気を付けて美味しく食べてくださいね。
ブドウなど、小さいものでも丸くてつるんとしたものは誤って丸飲みしやすいので必ず半分に切ってから凍らせましょう。
今回は、気持ちのことばを育てる、気持ちのことばを伝えるについてお話します。
気持ちの言語化ができると感情のコントロールにつながっていきます。
定型発達で3歳くらいの言語能力で気持ちのことばの表現ができます。(個人差はあります。)
こどもがことばを使わなくても、表情や態度で思っていることは大体わかりますが、お互いに気持ちを伝え合うことが、コミュニケーションUPにつながります。
気持ちのことばとは、姿かたちをもたない抽象語のことです。
例えば、たのしい、すき、うれしい、きらい、おどろく、こわい、かなしい、さびしい、おどろく、こまる、はずかしい 等です。
ことばで伝えるのが、出来ないお子さんには、同じ表情をまねっこしてもらう などいろんな表現をしてみてはどうでしょう。(どんなかお 参照してください。)
あそびをきっかけにお子さんがいろんな気持ちに気付くといいですね。
ポイントは、伝えたい意欲を高めること、聞き手がしっかり待つことです。
(伝えたい気持ちについて 詳しくは お話をする力の3要素を参照ください )
好きな絵本やテレビを見ているときに、登場人物の立場になって、気持ちのことばを聞かせて(代弁)あげてください。
例)
おとな「うさぎさん わらってる?たのしい?かな?」
こども「たのしい」
おとな「ぞうさん、ひとりだね。かなしいかな?さびしいかな?」
こども「かなしい。ひとりいや。」
おとな「ぞうさん、かなしいね、ひとりいやだね。」
まずは、いろんな気持ちを育てて、お互いにに伝えていきましょう。
参考書籍:湯汲英史,子どもが伸びる関わりことば26 ー発達が気になる子へのことばかけ,2006
湯汲英史,小倉尚子,一松麻実子,藤野泰彦:発達障害のある子どもと話す27のポイント わかりたい気持ちを高めるために,かもがわ出版,2011
今回は要求することについてのお話です。
要求はコミュニケーション発達の初めの段階にみられる重要な能力です。
要求には、意欲(~したい気持ち)が伴います。1歳頃から興味の幅が広がり、
2~3歳になると、「~したい」気持ちが増え、たくさん要求するようになります。
要求の多いこどもとはやりとりの回数も増えますよね。
こどもの要求が少ない、自発的な言動が少ないことを心配されている方は、
日常場面で理解できている状況をあえて不完全な状態にして、こどもがどんな反応をするか、様子をみて(観察する)はどうでしょうか?
要求方法は指さしでもことばでもOK。こどもの意図をよみすぎず、要求がでるのを待ってあげることがポイント。
とはいえ、気持ちが強すぎるとお互いに待てないことはあります。
こども「!!…。ママ」
ママ「なに?」
こども「(スプーン)ない。」
ママ「ないね?スプーン?」
こども「うん。」
ママ「スプーンいる?」
こども「スプーンちょうだい。」 (ジェスチャーでも問いかけに反応すればOK)
ママ「よく気付いたね。教えてくれてありがとう。(スプーン)取ってくるまで待っててね。」
こどもの自発的な気づきや言動を褒められる、要求が達成されることが良い経験となり、次の活動力Upへとつながることがあります。
ことばに限らずにいろんな要求や返答することを目標にこども自身が考える、大人は要求を待つなどの状況をつくって楽しくやりとりしてみてください。
参考書籍:
湯汲英史,子どもが伸びる関わりことば26 ー発達が気になる子へのことばかけ,2006
湯汲英史,小倉尚子,一松麻実子,藤野泰彦,発達障害のある子どもと話す27のポイント わかりたい気持ちを高めるために,かもがわ出版,2011
コロナ禍でなかなか外出する気になれなかったかと思います。
大人も、こどももお出かけすると気分転換になりますよね。
今回は挨拶の1つ「バイバイ」についてお話します。
「バイバイ」は、人と別れるときの(他者の方に手の平をみせて振る)動作です。
バイバイは、模倣動作(まねっこ)を楽しみだすようになった頃に大人の動きを真似(模倣)してできるようになります。この頃はバイバイの意味や状況をわかっていません。「バイバイした後に、、、、泣き出す赤ちゃん」よくある場面です。
この頃は、まねっこ(模倣動作)が上手なので、おとなが、いろいろやってみせてあげることで興味をもって動作を繰り返すようになると思います。
そのあと、単なる動作模倣から、バイバイ後に人がいなくなる(他者の行動)ことを経験し、「バイバイ(他者の方に手の平をみせて手を振る)」=人と別れる時の言動 と理解するようになります。
このように、手の運動(微細運動)、言語理解、言語表出それぞれの発達が関連しています。
こどもの自発的なバイバイを周囲がキャッチして反応(笑顔、声掛けなど)することで、他者への興味が広がり、コミュニケーションにつなげていくことができるといいですね。
参考文献
松井 学洋,中井 靖,高田 哲,(2017)微細運動と言語能力の発達からみた模倣動作「バイバイ」
指差しやバイバイなどが出来るようになり、言えることばも「ぱぱ いった」等、ことばをつなげて話せるようになってくると、しきりに指さしをしながら「これ?」「これ何?」と同じ質問を繰り返しされるようになります。
子どもによっては心配になるくらい。一日に何度も同じ物を指差し「これは?」「これは?」「これは?」と聞いてくることもありますよね。
物の名前が長くて、うまく聞き取れないでいることもあるかもしれません。
「これは?」と聞くと大人がいつも同じように答えてくれるという繰り返しのやり取りをして楽しんでいるという場合もあります。
他にも、子ども達の「これは?」には
「これの名前は?」
「これの使い方は?」
「これは、何をするもの?」
「これは何色?」
「これは誰の?」
「これは〇〇であってる?」
「これで遊んでいい?」等
色々な質問が隠れている事があります。
また、お父さんからは「トラック」と教えてもらったのに、お母さんは「ダンプカー」と教えてくれた。
という事があれば「これはトラックじゃないの?」と確認しているのかもしれません。
少しずつ、会話も楽しめるようになってくる時期なので
「これは何?」という質問に「これは、何だと思う?」と質問を返してみても、やり取りを楽しんでくれるかもしれません。
ただ、「これは何か言ってごらん。知ってるでしょ」等テストするようなことや言えるか試すような言い方はしないようにしましょう。
まだまだ「これは?」と単純な聞き方しかできない段階だとしても、身近な大人が状況や視線等から知りたいことを想像して応えてくれることでことばの数を増やしたり、意味を知ったりしていきます。
質問攻めが始まるころは、話しことばだけでのコミュニケーションが難しく単語と身振りを組み合わせた表現なども多く見られます。
子どものことばだけでなく、何を言おうとしているのか、何を知りたいと思っているのかを指差しや身振り、視線にも注目してあげながらコミュニケーションができるといいですね。
参考文献
監修中川信子,ことばの育み方, NHK出版, 2010
堀彰人(2017),幼児期のコミュニケーションの発達-会話における「明瞭化要求」を中心に‐
指さしは非言語コミュニケーション手段の1つとしてことばの発達に大きく関係しており、コミュニケーション場面で受信と発信どちらの場面にも使うことができる動作です。
生まれてから人とかかわる、物とかかわる、物を仲立ちしとしてかかわる経験をしていく中で指さしの意味も変わってきます。
見つけたものを指さす、自分の欲しいものを指さす、何かを見つけた時に「あっ」と指さしながらおかあさん(他者)を共感するようにみるなどがあります。
指さしが出始めの頃は、お子さんの一方的な動きとなりがちです。でも、お子さんの指さしに大人が「ワンワンだねぇ」「おさかなさん、いなくなったね」などの関わりを繰り返すことで他者や物への興味が広がり、注目が続くようになっていきます。
「わかったこと」「伝えたい気持ち」を増やすことは、ことばの発達にもつながっていきます。
受信の指さしは、
「電車どれかな?」の問いかけに指さしで応じる。また走り去った方向を一緒にみて指さしをする。などです。例えば、ことばをしゃべらなくても、離れたところにいる電車を指さして、やりとりができますよね。
大人:「電車どこ?」
大人:「あっちにいったね。」
こども:「た」電車の向かった方を指さす
応答の指さしは、物を仲立ちしとしてかかわる三項関係が成立しており、こちらの問いかけを理解し、応えて伝えようとする能力が必要です。
指さしは興味や関心、要求、応答が含まれる反応で、視線や注意を向けるようにお互いに促し、情報の伝達をしやすくする動作です。
指さしをつかって「わかったこと」「伝えたい気持ち」をお互いに伝えてみましょう。
「りんご」を「ご」と言うなど
単語の名前の最初や最後だけしか言わない。というご相談を受けることがあります。
「りんご」と伝えたいのだけれどうまく言えず「ご」と発音したり、「ひこうき」を「こーき」と発音することを専門用語で「ワードパーシャル」と言います。
こういう、単語の一部だけしか言わない時期は言葉の出始めから2歳代くらいまでは、比較的よく見られます。文も話しているようだけど一部だけしかはっきり聞き取れず 🙁 (何か伝えたいんだろうけど、よくわからないな)ともどかしい経験をされている保護者の方は多いのではないでしょうか?
発音の未熟さでもありますが、音を覚えておくことや複数の音を頭の中で並べる事の未熟さが原因であることもあります。
こんな時思わず一文字ずつ復唱させて
:-) 大人「り」→子「り」
🙂 大人「ん」→子「ん」
🙂 大人「ご」→子「ご」
🙂 大人「りんご」→子「ご」
と言わせたくなってしまうものですが”りんご”だと言えない。という事はよくあります。
でも、子どもは“りんご”と言っているつもりなので言いたい気持ちを汲み取って「そう、り ん ご」と正しい言葉をゆっくり、聞き取りやすい発音で復唱してあげましょう。
何度も聞くことで記憶が強化され音を組み立てる力にも繋がります。
文字に興味のある子なら、文字も一緒に示してあげてもいいでしょう。
3歳を過ぎても言葉の一部を言うことの方が多く、正しく言える言葉が増えないような時は、専門家と丁寧に様子を見守りながら成長を観察することが必要な事があります。また、ことばを聞く練習やことばを組み立てる練習が必要なことがありますので小児科医や保健師さん、専門家(言語聴覚士など)に相談してみてください。
参考文献
言語委員会言語発達遅滞小委員会(1998)〈S-S法 〉言語発達遅滞検査 を用いた健常幼児の言語能力調査
赤ちゃんがいろいろな声を発するようになるとコミュニケーションが広がっていきます。そして、喃語が出てくるためには、大人との関わりを楽しいと思う機会をたくさんもつことが大切です。
たくさん笑う 😆
まずは、たくさん笑う機会を作っていきましょう。
クーイング「うー」「くー」など声を出す段階で、身近な人が反応を繰り返していくくと、周囲の反応に対して赤ちゃんは声を出して笑うようになるだけでなく、気に入らない事があると泣くことも増えてきます。こうやって、笑ったり泣いたりして声を出す練習をすることができます。
この時、赤ちゃんの泣き声や発声に好意的な態度(優しく触れる、柔らかい声で話す)で周囲の人がかまってあげることで、コミュニケーションの楽しさを知っていくことも出来ます。
話しかける 😛
聞く力が未発達な赤ちゃんへの話かけには、少しだけコツがあります。
講話でも毎回お話していることなので言語聴能訓練室をご存じの方々は「それ、もう聞いた」と思われるかもしれませんが簡単におさらいさせてくださいね。
赤ちゃんへの話しかけのコツ
ゆっくり はっきり みじかく くりかえす |
赤ちゃんは聞く力や覚える力が、まだまだ未熟です。
一度に多くの内容を、大人に話すのと同じ速さで聞かされても
覚えきれないし、すべてを正しく聞き取ることが出来ません。
そこで、4つのコツ🍎ゆっくり🍎はっきり🍎みじかく🍎くりかえす
を気をつけて普段のお世話の中で話しかけることで、赤ちゃんが大人のことばに興味を示しやすくなり、ことばの獲得につながっていきます。
中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019
阿部五月, 藤永 保,田中規子(2001) 発達初期の理解語彙の獲得(Ⅱ) 家庭訪問調査(1)
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赤ちゃんが「ぶぶー」「まんま」など二つ以上の音を発することを「喃語(なんご)」といいます。
喃語は言葉の発達過程にみられ「コミュニケーションの始まり」でもあります。赤ちゃんと楽しくやり取りしてみましょう。
喃語が出るまでの過程
泣く
生後間もなくから、赤ちゃんは泣くことで「気持ちわるい!」「お腹すいた!」と泣くことで知らせてくれますが、まだこの段階では不快な事を知らせているだけで「おしめを変えてほしいんだー!」と、してほしいことを知らせようとしているのではないそうです。
それでも、泣けば「気持ちよくしてくれる」「お腹いっぱいにしてくれる」と言う事知っていく大切な機会になります。
クーイング
生後2ヵ月頃を過ぎると、「あー」「くー」とご機嫌に声を出すようになります。
徐々にあやされると笑ったり、手足をバタバタしたりするようになります。
赤ちゃん自分から、身近な大人に笑いかけたりとするようになるのもこの頃です。
赤ちゃんの声をまねしたり「ごきげんだね」と優しく返事することでコミュニケーションをしましょう。
赤ちゃんも、大人の声や動きをまねたりしてやり取りらしい関わりができるようになってきます。
喃語
4~6ヵ月頃以降。首も座り自分の体を支える力がついてくると喃語が出始めます。
唇や舌を使っての「ぶー」「だー」から次第に「あむあむ」「んまんま」などの色々な音を出すようになります。
喃語は、人とのコミュニケーションの楽しさを知っていく第一歩です。意味のない音に聞こえますが、クーイングの時と同様に声を真似たり、返事をしてあげながら声を出すことを楽しめるように相手をしてあげましょう。
中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019
阿部五月, 藤永 保,田中規子(2001) 発達初期の理解語彙の獲得(Ⅱ) 家庭訪問調査(1)
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