ことばあそび⑪「だれのこえ?」

こんにちは。言語聴覚士Kです。

ことばあそび ⑪

お出かけ中の車の中など、どこでもできますよ。

お子さんとのことばあそび、ぜひやってみてください。

【対象】 年少~

【ねらい】
 (1)注目する

 (2)音を聞く

 (3)ことばをふやす
  

【できるにんずう】 2人以上

【やりかた】

1.もんだいを だす ひとは 「ワンワン だれのこえ?」 🙄 ?と 

  たずねます。

2.「いぬ」 など答えられるかな?

 お子さんと保護者の方と順番に問題をだしあってみましょう。

 自分で問題を考える練習にもなりますよ。

 他にどんな動物(ねこ・やぎ・とりなど)がどんな鳴き声をしているか、お父さんやお母さんの声の真似っこなど、色んな声を考えてみたり、探してみたりしても楽しいですね。

機能性構音障害

 言語聴能訓練室の発音の相談で最も多いのが、このタイプです。

 「サ行が言えない」「発音がはっきりしない」「ことばが遅い」等で相談に来られることが多いです。 

 今まで「発音のお話」で書かせていただいている記事は、この機能性構音障害について書かせていただいています。

 大体は、発音の発達過程でみられる子音の誤りであることが多く、経過を観察する中で自然と正しい発音を獲得することが可能な時もありますが、そのまま癖になってしまうこともあります。

 中には発音の発達の過程では普通は出現しない誤りをする子どももいます。その場合は自然に正しい音を獲得できる場合は少なく、練習が必要になることが殆どです。

 機能性構音障害の誤りは、構音訓練で正しい音を獲得できることが多いです。

 誤り方によっては、聞き手が全く違和感を感じない状態になるには時間がかかることもあります。

 構音訓練をすることで、学校の本読みや電話では気を付けて正しく発音することが出来るけれど、リラックスしてご家族と話している時は誤りがあるなど、その子によって普段から気を付けられる度合いが違います。発音の誤りに自分で気づき、目的の音を数回の言い直しで正しく言えるようなら問題ありません。

 以前も「発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら」で書かせていただいたように、機能性構音障害は早期に構音訓練を行う方が良いとは限りません。

 「発音のお話②大人が発音の見本に発音のお話③発音を育てる生活動作と遊びを参考に、ご家庭で訓練が開始できる時期まで様子をみてもらえたらと思います。

 機能性構音障害だと思っていても、滑舌や発音の誤りにはごく稀ですが器質性の問題が隠れていることもあります。

 ご家族が「違和感があるな」「これは様子をみてもいいのかな?」と不安な際や相談機関で受診を勧められた際は医師や歯科医師に相談するようにしましょう。

関連記事

構音障害(発音の障害)器質性構音障害運動性構音障害発音のお話①発音の発達

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

運動性構音障害

 運動性構音障害とは、いわゆる脳卒中やALS、パーキンソン病、脳性マヒなど、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

「麻痺性構音障害」や「ディサースリア」ともいいます。

「ろれつが回らない」という状態が多く、話がはっきりしない、鼻声が酷い等の訴えが多数です。話すリズム・速さ・アクセント・イントネーションの異常を併発することもあります。

 原因となる疾患がある為、主治医からの依頼を受けて言語聴覚士が検査、評価を行います。

 訓練で改善は見込めますが、疾患による運動障害そのものを改善することには限界があります。発症前と同程度に自然な状態に戻ることは容易ではなく個人差がすごく大きいです。

 どのようなリハビリをどのように進めていくかは主治医である医師としっかり相談しながら行うことが大切です。

 ある日突然に「ろれつが回らない」「言葉がうまく話せない」という症状が出た際にはただちに病院受診をしましょう。


参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

再開のお知らせ

 新型コロナウイルス感染症対策として臨時休館しておりましたが、岡山県に発令されている緊急事態宣言の解除に伴い令和3年6月22日(火)より利用を再開いたします。

 ご相談の方は電話でご連絡いただくか、お問い合わせメールフォームよりご連絡ください。

TEL 086-434-9881 (火曜日~土曜日 9時~17時)

器質性構音障害

 発音で言語聴能訓練室に相談に来られる方の中には「器質性構音障害」の可能性がある方がおられます。

 言語聴能訓練室で、もっとも多いのは歯科等で「舌小帯短縮症と言われた」と相談に来られる方です。

 医師や歯科医師に診察を受けたことがない方は、受診をお勧めします。

 医師、歯科医師が発音に関与する各器官の形態や動きを診察し、必要な治療や方針を判断します。

 言語聴覚士は、医師、歯科医師の診断、治療と方針の中で訓練が必要だと判断があった方を対象に改めて発音の検査を行い訓練を始めます。

 舌小帯短縮症では「サ行」「タ行」「ラ行」がうまく言えない、と言われる方が多く、機能性構音障害と誤りの出る音が似ています。


 また、鼻に食べ物が逆流しないようにする蓋の部分が十分に塞がらない、塞がりにくい状態になる「口蓋裂」があります。

 口蓋裂(口の中の上のザラザラ下部分から柔らかい部分の一部、またはすべてが生まれつき塞がっていない状態)の方の症状です。

 ほとんどの場合、生まれてすぐに発見されます。

 けれど、口の中を見て一見問題ない場合でも粘膜の下の筋肉だけが塞がっていないことがあり発見が遅れることも稀にあります。

 声が鼻にかかる、ふがふがした声、咳払いのような声の場合「鼻咽腔閉鎖不全」の可能性があります。

 鼻咽腔閉鎖不全は、口蓋裂以外の原因でも起こることがあります。

 医師、歯科医師が診なければ形の異常が分かりにくい場合もあるので、医療機関の受診を勧められた時には早めに受診して、必要であれば原因に対しての治療を受けましょう。

 

 

 ・人より少し口が小さいようだ

 ・舌が長いような気がする

 ・少し歯並び悪い……等など

 「比べてみれば、ちょっと大きさや見た目が違う。」

    という程度であれば、殆どは正しい発音に影響を与えることはありません。例えば乳歯から永久歯への抜け替わりで、前歯がなくても正しい発音が身についていれば発音にほとんど影響はありません。

 もちろん、心配な時には医師、歯科医師へ相談をするようにしましょう。発音に影響がない場合でも、呼吸や歯の健康の為には治療が必要なことがある為、自己判断はお勧めしません。

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

構音障害(発音の障害)

 言語聴能訓練室には、発音の相談が沢山寄せられます。

 そこで、正しく発音できない原因について、ざっくりですがお話してみたいと思います。

 正しく言葉を発音できないこと、を専門用語で「構音障害」といいます。

 構音障害は大きく分けると、聴覚に障害によって正しい発音が学習できないもの、形の問題、運動の問題、明らかな問題のないもの、4つに分類できます。

(1)聴覚の問題によるもの

 聴覚性構音障害は、いわゆる難聴により手本となる正しい発音や自分の発音を聞き取れないために、正しく発音することを学習できず、発音に障害が生じる状態をいいます。

(2)形の問題によるもの

 病気やけがのために、音を作る時に使う器官(口、舌、喉、鼻の辺り)の一部が欠損したり、形が違うために起こる発音の問題で「器質性構音障害」と呼ばれます。

 先天的なものとしては、お口の中やくちびるが生まれつき割れている状態の口蓋裂、口唇裂。ベロの下の筋が短くベロが引きつってしまう等の舌の形態の異常で舌小帯短縮症などがあります。

 後天的なものとしては、がんなどの切除手術によるものが代表的です。

(3)運動の問題によるもの

 脳卒中や脳性マヒ等、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

 「運動障害性構音障害」や「ディサースリア」といいます。

(4)明らかな問題のないもの

 言語聴能訓練室でもっとも多く相談にこられるのがこのタイプです。

 上記のような明らかな原因はなく発音に誤りがあることを「機能性構音障害」といいます。

「カ行音」「サ行音」が「タ行音」になる、「キ」が「シ・チ」に似た音に聞こえるといったように、発音に関係する器官の形に問題がなく脳や神経、聴覚などに問題がないにもかかわらず発音がうまくできない状態です。

 次からは、それぞれのタイプについてもう少し詳しくお伝えします。

 

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

『いっしょに』の大切さ

こんにちは、言語聴覚士Kです。

こどもの「ことば」は生活の中でコミュニケーションをとりながら育ちます。(ことばの発達とメディア:参照)わたしたちは、コミュニケーション能力を伸ばすためにいっしょにする状況は大事だと考えています。

今回は「いっしょにする」についてお話したいと思います。

いっしょに」のことばの意味を理解できるのはだいたい2~3歳頃からです。

はじめてのことに不安を感じやすい、また人見知りがあるお子さんに「おかあさんといっしょだよ」と伝えると前に一歩踏み出せる気持ちになれるかもしれません。

うたのおにいさんとおねえさんがでる番組のタイトルにも使われていますね。

こどもにはイメージの良いことばなのでしょうか?

いっしょに」は、人への興味を持たせ社会性を育てることば として子育てに必須な声掛けのことばの1つなのです。

私たちは、言語訓練の始まりと終わりの挨拶はいっしょに言います(斉唱)。また、帰る時には「いっしょに帰ってね」「手をつないでいっしょに帰ってね」と子どもに声かけをしています。

いっしょにいろんなことをすることで確認する力も育っていくと思います。

いっしょにすることって?例えば?

🍎手をつないでいっしょにあるく 

歩き始めは手をつなぐことができても、興味あるものが視界に入るとすぐ手を放すことがあった時に「いっしょだよ。いっしょに行こうね」「いっしょに早くあるこうよ。」などと声かけをしてみてください。歩調を合わせることができるようになったら、(手を放して)横に並んで歩けるといいですね。

以前、おうちでできるあそび として紹介した新聞電車もぜひしてみてください。(ことばあそび⑤新聞電車 参照

🍎いっしょに数える 

お風呂やゲームで数えるなどの時は、数えることに夢中で初めから最後まで同じテンポで数えることが難しいかもしれません。数の理解がまだできないお子さんも、一緒に言い終わるなどを目標するなどして待つ場面をつくってみてください。

 

 

繰り返すことで周りの様子を意識し確認できるようになっていくと思います。


参考書籍:湯汲英史,子どもが伸びる関わりことば26 ー発達が気になる子へのことばかけ,2006

湯汲英史,,小倉尚子,一松麻実子,藤野泰彦,発達障害のある子どもと話す27のポイント わかりたい気持ちを高めるために,かもがわ出版,2011

赤ちゃんからの英語学習について

 

 1~3歳のくらいのお子さんの保護者の皆様から「英語は早く習わせた方がいいですか?」「英語を習わせるのは早いですか?」というご質問をよく頂きます。

 結論から言うと、言語聴覚士としてはご家族が日本語を主に使うのであれば、日本語でのコミュニケーションがしっかり取れるようになってからの方がいいと思っています。

 日本語も英語も「ことば」です。

 「ことば」を育てるには、以前もお話した「ことばの3要素」を伸ばしていくことが必要です。「ことば」は日常生活の中で体を動かして感じたりする体験、心動かされる楽しい経験の中で育っていきます。

 「ことば」がまだ未熟なお子さんの何かを伝えたいという「きもち」を身近な大人が受け止めて「ことば」で代弁してあげたり、少し広げて返したりすることで「伝わった」という体験を積みかさねて更にコミュニケーションを楽しいものとしてあげられます。

 普段の生活の楽しいやりとりの中で「ことばの3要素」を伸ばしていくことが大切です。

 また、自分の気持ちや考えを伝える為に「ことば」を使えることが大切です。

 英語学習の動画やDVDを長時間ただ流しっぱなしにするのは、言葉の学習としてはお勧めできません。

 メディアだけを使って「単語」や「文」を覚えて言えるようになっても、考える力や伝えたい気持ちを伸ばすには不十分だと考えます。

 活用する際は、他のメディアと合わせて2時間以内を目安にし、多くの教材の提供元が推奨されているようにおうちで、お子さまと一緒に楽しんでいただく”ようにし、コミュニケーションをとりながら視聴するようにしましょう。

 英語教室は、お子さんにとっては日常では感じられない体験が出来る場になると思います。お子さんが教室でどんなことをしたか、どんなことを感じたかたくさん聞いてあげくださいね。親子の楽しいコミュニケーションのきっかけになると思います。


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参考HP 中川信子 そらとも広場 英語ビデオ漬け 気をつけて

参考文献 発達教育(2014.7)P12-13

     水田愛 古石, 篤子(2000)年齢が第二言語習得に与える影響 : 早期英語教育のあり方を問う  

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