機能性構音障害

 言語聴能訓練室の発音の相談で最も多いのが、このタイプです。

 「サ行が言えない」「発音がはっきりしない」「ことばが遅い」等で相談に来られることが多いです。 

 今まで「発音のお話」で書かせていただいている記事は、この機能性構音障害について書かせていただいています。

 大体は、発音の発達過程でみられる子音の誤りであることが多く、経過を観察する中で自然と正しい発音を獲得することが可能な時もありますが、そのまま癖になってしまうこともあります。

 中には発音の発達の過程では普通は出現しない誤りをする子どももいます。その場合は自然に正しい音を獲得できる場合は少なく、練習が必要になることが殆どです。

 機能性構音障害の誤りは、構音訓練で正しい音を獲得できることが多いです。

 誤り方によっては、聞き手が全く違和感を感じない状態になるには時間がかかることもあります。

 構音訓練をすることで、学校の本読みや電話では気を付けて正しく発音することが出来るけれど、リラックスしてご家族と話している時は誤りがあるなど、その子によって普段から気を付けられる度合いが違います。発音の誤りに自分で気づき、目的の音を数回の言い直しで正しく言えるようなら問題ありません。

 以前も「発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら」で書かせていただいたように、機能性構音障害は早期に構音訓練を行う方が良いとは限りません。

 「発音のお話②大人が発音の見本に発音のお話③発音を育てる生活動作と遊びを参考に、ご家庭で訓練が開始できる時期まで様子をみてもらえたらと思います。

 機能性構音障害だと思っていても、滑舌や発音の誤りにはごく稀ですが器質性の問題が隠れていることもあります。

 ご家族が「違和感があるな」「これは様子をみてもいいのかな?」と不安な際や相談機関で受診を勧められた際は医師や歯科医師に相談するようにしましょう。

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参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992