「人見知り、場所見知り」の記事では、人見知り場所見知りする子どもたちに身近な大人は子どもにとっての安心できる場所「安全の基地」になりましょう、と書かせていただきました。
今回は具体的にどのように「安全の基地」になるか考えてみたいと思います。
促しすぎない
特に、人見知りが強い子どもには新しい刺激を怖くないと思うために、探索したり静かに落ち着いて遊んだりする時間が人見知りしない子より多く必要になってきます。
「遊んでごらん」「こわくないから触ってごらん」「ご挨拶して」と促されるよりも
ただその場に慣れるのをいっしょに待ってくれる人が必要なようです。
最初は、抱っこされてばかりかもしれません。
でも、お父さんお母さんは子ども自身が一人で静かに少しずつ遊ぶようになれるのを待ちましょう。
子どもが見ていることに対して時々落ち着いた声で「~してるね」と周囲の様子を伝えるように声掛けしてあげてもいいでしょう。
徐々に、その場にある物やほかの子が遊んでいるものに触ってみたくなって指差ししたり、欲しがったりするようになってきても最初はどうやって遊べばいいかわからない子もいます。
おもちゃを持っているだけだったりすぐに離してしまうようでしたら、お父さんお母さんがおもちゃで楽しそうに遊んで見せ、遊び方を示してあげることもいいでしょう。
そうやって身近な大人が寄り添うことで徐々に一人で遊ぶことができるようになります。
子どもは安心できて、初めて色々なことに興味をもつことができます。
遊びを介して友達とのかかわりができるようになってくる子もいます。
「かして」「ありがとう」「ごめんね」等最初は言えない子には「『ありがとう』といいなさい」といいすぎるより、「おもちゃの貸し借り①」でもあるように、大人が代弁して気持ちの伝え方を示してあげるのも大切です。
ドキドキしてもお母さんお父さんという「安全の基地」にすぐに避難できるから、遊ぶ範囲を徐々に広げていくことができます。
安心して遊ぶことができることで、人とコミュニケーションできる余裕がでてきて、徐々に先生に挨拶することやお友達と一緒に遊ぶことが増えてきます。
参考文献
NHK出版編集(2010)『ことばの育み方』中川信子監修, NHK出版.
藤岡久美子(2013)「友達と遊ばない子どもの発達—幼児期児童期の引っ込み思案・社会性研究の動向」, 山形大学紀要(教育科学第15巻4号別冊)pp.309-323