令和3年度 第1回フォローアップ研修を5月11日(火)10:00~12:00 201研修室で行いました。
「遊びや生活の中でできる発達の遅れのある子どもへの関わり方や工夫」
川崎リハビリテーション学院 作業療法士 森川芳彦氏
昨年度は,新型コロナウイルス感染症防止のため中止になりましたが,再度お願いしました。
コロナ禍の為,検温,マスク,3密,換気に気を付けての研修会。
参加者25名でした。若い30,40才代の会員の方が多く参加してくれました。
いろいろな特徴を持つ子ども
①ビクビクさん→不安感が強い
②もっともっと君→落ち着きがない
③ぼうっとさん→気づきにくい
④ぐにゃぐにゃさん→疲れやすい,姿勢が崩れやすい
⑤モタモタ君→手先が不器用
①ビクビクさん(感覚が非常に過敏な子ども)周囲の理解,苦手なものから慣れさせるのではなく,子どもの受け入れのよさそうな物を提供して,徐々に慣れてもらう。
聴覚が過敏➡雑音が苦手。突然の大きな音が苦手➡イヤーマフ,デジタル耳栓等で環境の工夫,調整する。(情緒が安定している時はあまり気にならない)
視覚が過敏➡蛍光灯のちらつき,太陽の光がまぶしい➡有色レンズ,有色フィルムで環境の工夫,調整する。
視覚が過敏➡糊や粘土を触るのが苦手。決まった服しか着れない。シャワーが苦手。人に近づかれるのが苦手。➡園や学校では他児から触られないので後ろの席の方が安心できる。(予測がつくと過敏さが制御される)
②もっともっと君(感覚刺激を求める子ども)
多動傾向で落ち着きなく,じっとしていられない。力加減がわからない疲れを知らない。体力が無尽蔵➡園庭,校庭での遊び時間は十分に動く。掃除の時間に十分動く。(枠組みの中で動く事を補償する)➡頑張って動いたり活動していることに対して褒める➡感覚グッズなどを活用する(気持ちの安定,集中力の向上)心地よいタオル,感触グッズ,エアークッションで欲求を満たしてあげる。
③ぼうっとさん(感覚刺激に気付きにくい子ども)
一見,ボーっとしている。あくびが多く,眠たそうに見える。活動の意欲に欠ける。他者から話しかけられても気づかない。(脳が目覚めていない)➡話を聞くだけでなく,ストレス,軽体操などを取り入れた活動を行い欲求を満たしてあげたり,挙手の代わりに立って発言するようにする。
④ぐにゃぐにゃさん(姿勢の問題を持つ子ども)
真直ぐに姿勢を保つことができない。肘をついて姿勢を保ったり,何かに持たれたりする。よくつまずいたり,転んだりする。➡バランスがよくない。体力がない。疲れやすい。➡遊びの中で,様々な姿勢でのバランス反応を促す。バランスディスク,ブランコ,トランポリン,持ち上げる,遊びの中で「だるまさんが転んだ」などを取り入れる。
⑤モタモタ君(不器用さの問題を持つ子ども)
箸・鉛筆が上手く操作できない。ハサミが上手く操作できない。紐が結べない。➡机,椅子の高さ,背もたれを調節して姿勢を整える。興味を持っているもの,素材を考え,工夫していく。
何でもかんでも口に入れてしまう子ども(原因は口腔の感覚欲求が強い為,口の中に入れることで,情緒的な安定を図っている。)➡感覚欲求を満たす活動を提供する➡シャボン玉,泡遊び,紙風船,吹き矢,ピロピロ笛,カミカミおやつで欲求を満たしてあげる。
行動のプロセスは
情緒の登録(認識)⇒観念化(遊びのアイデア)⇒運動企画(順序立て)⇒実行
大人は
子どもの特徴を理解して,しっかり,子どもと向き合い(話を聞き),段階的にできる事を増やし,できた喜びを共有することが大切なんだと思わせていただきました。
1時間半の講話の後,質問時間を設けました。みなさん質問され,先生から,アドバイスをいただきました。
子育て中の会員さんに「とても勉強になりました。」という言葉をもらいました。
ありがとうございました。
<サブ・リーダーTさん感想>
様々な特徴の子どもの対処方法を教えていただきました。子どもの様子を大人が推察し,支援の仕方を模索することが大切だと話されました。実際に子どものできることを少しずつ増やし,悩みながらも辛抱強く向き合っておられる方の話を聞きました。今まで知らなかった苦労されている姿であり考えさせられました。