機能性構音障害

 言語聴能訓練室の発音の相談で最も多いのが、このタイプです。

 「サ行が言えない」「発音がはっきりしない」「ことばが遅い」等で相談に来られることが多いです。 

 今まで「発音のお話」で書かせていただいている記事は、この機能性構音障害について書かせていただいています。

 大体は、発音の発達過程でみられる子音の誤りであることが多く、経過を観察する中で自然と正しい発音を獲得することが可能な時もありますが、そのまま癖になってしまうこともあります。

 中には発音の発達の過程では普通は出現しない誤りをする子どももいます。その場合は自然に正しい音を獲得できる場合は少なく、練習が必要になることが殆どです。

 機能性構音障害の誤りは、構音訓練で正しい音を獲得できることが多いです。

 誤り方によっては、聞き手が全く違和感を感じない状態になるには時間がかかることもあります。

 構音訓練をすることで、学校の本読みや電話では気を付けて正しく発音することが出来るけれど、リラックスしてご家族と話している時は誤りがあるなど、その子によって普段から気を付けられる度合いが違います。発音の誤りに自分で気づき、目的の音を数回の言い直しで正しく言えるようなら問題ありません。

 以前も「発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら」で書かせていただいたように、機能性構音障害は早期に構音訓練を行う方が良いとは限りません。

 「発音のお話②大人が発音の見本に発音のお話③発音を育てる生活動作と遊びを参考に、ご家庭で訓練が開始できる時期まで様子をみてもらえたらと思います。

 機能性構音障害だと思っていても、滑舌や発音の誤りにはごく稀ですが器質性の問題が隠れていることもあります。

 ご家族が「違和感があるな」「これは様子をみてもいいのかな?」と不安な際や相談機関で受診を勧められた際は医師や歯科医師に相談するようにしましょう。

関連記事

構音障害(発音の障害)器質性構音障害運動性構音障害発音のお話①発音の発達

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

運動性構音障害

 運動性構音障害とは、いわゆる脳卒中やALS、パーキンソン病、脳性マヒなど、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

「麻痺性構音障害」や「ディサースリア」ともいいます。

「ろれつが回らない」という状態が多く、話がはっきりしない、鼻声が酷い等の訴えが多数です。話すリズム・速さ・アクセント・イントネーションの異常を併発することもあります。

 原因となる疾患がある為、主治医からの依頼を受けて言語聴覚士が検査、評価を行います。

 訓練で改善は見込めますが、疾患による運動障害そのものを改善することには限界があります。発症前と同程度に自然な状態に戻ることは容易ではなく個人差がすごく大きいです。

 どのようなリハビリをどのように進めていくかは主治医である医師としっかり相談しながら行うことが大切です。

 ある日突然に「ろれつが回らない」「言葉がうまく話せない」という症状が出た際にはただちに病院受診をしましょう。


参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

器質性構音障害

 発音で言語聴能訓練室に相談に来られる方の中には「器質性構音障害」の可能性がある方がおられます。

 言語聴能訓練室で、もっとも多いのは歯科等で「舌小帯短縮症と言われた」と相談に来られる方です。

 医師や歯科医師に診察を受けたことがない方は、受診をお勧めします。

 医師、歯科医師が発音に関与する各器官の形態や動きを診察し、必要な治療や方針を判断します。

 言語聴覚士は、医師、歯科医師の診断、治療と方針の中で訓練が必要だと判断があった方を対象に改めて発音の検査を行い訓練を始めます。

 舌小帯短縮症では「サ行」「タ行」「ラ行」がうまく言えない、と言われる方が多く、機能性構音障害と誤りの出る音が似ています。


 また、鼻に食べ物が逆流しないようにする蓋の部分が十分に塞がらない、塞がりにくい状態になる「口蓋裂」があります。

 口蓋裂(口の中の上のザラザラ下部分から柔らかい部分の一部、またはすべてが生まれつき塞がっていない状態)の方の症状です。

 ほとんどの場合、生まれてすぐに発見されます。

 けれど、口の中を見て一見問題ない場合でも粘膜の下の筋肉だけが塞がっていないことがあり発見が遅れることも稀にあります。

 声が鼻にかかる、ふがふがした声、咳払いのような声の場合「鼻咽腔閉鎖不全」の可能性があります。

 鼻咽腔閉鎖不全は、口蓋裂以外の原因でも起こることがあります。

 医師、歯科医師が診なければ形の異常が分かりにくい場合もあるので、医療機関の受診を勧められた時には早めに受診して、必要であれば原因に対しての治療を受けましょう。

 

 

 ・人より少し口が小さいようだ

 ・舌が長いような気がする

 ・少し歯並び悪い……等など

 「比べてみれば、ちょっと大きさや見た目が違う。」

    という程度であれば、殆どは正しい発音に影響を与えることはありません。例えば乳歯から永久歯への抜け替わりで、前歯がなくても正しい発音が身についていれば発音にほとんど影響はありません。

 もちろん、心配な時には医師、歯科医師へ相談をするようにしましょう。発音に影響がない場合でも、呼吸や歯の健康の為には治療が必要なことがある為、自己判断はお勧めしません。

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

構音障害(発音の障害)

 言語聴能訓練室には、発音の相談が沢山寄せられます。

 そこで、正しく発音できない原因について、ざっくりですがお話してみたいと思います。

 正しく言葉を発音できないこと、を専門用語で「構音障害」といいます。

 構音障害は大きく分けると、聴覚に障害によって正しい発音が学習できないもの、形の問題、運動の問題、明らかな問題のないもの、4つに分類できます。

(1)聴覚の問題によるもの

 聴覚性構音障害は、いわゆる難聴により手本となる正しい発音や自分の発音を聞き取れないために、正しく発音することを学習できず、発音に障害が生じる状態をいいます。

(2)形の問題によるもの

 病気やけがのために、音を作る時に使う器官(口、舌、喉、鼻の辺り)の一部が欠損したり、形が違うために起こる発音の問題で「器質性構音障害」と呼ばれます。

 先天的なものとしては、お口の中やくちびるが生まれつき割れている状態の口蓋裂、口唇裂。ベロの下の筋が短くベロが引きつってしまう等の舌の形態の異常で舌小帯短縮症などがあります。

 後天的なものとしては、がんなどの切除手術によるものが代表的です。

(3)運動の問題によるもの

 脳卒中や脳性マヒ等、発音に関わる動きをコントロールする神経の病気が原因で発音が思い通りにできない状態です。

 「運動障害性構音障害」や「ディサースリア」といいます。

(4)明らかな問題のないもの

 言語聴能訓練室でもっとも多く相談にこられるのがこのタイプです。

 上記のような明らかな原因はなく発音に誤りがあることを「機能性構音障害」といいます。

「カ行音」「サ行音」が「タ行音」になる、「キ」が「シ・チ」に似た音に聞こえるといったように、発音に関係する器官の形に問題がなく脳や神経、聴覚などに問題がないにもかかわらず発音がうまくできない状態です。

 次からは、それぞれのタイプについてもう少し詳しくお伝えします。

 

参考文献

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

発音を育てる(舐める食べる)

 こんにちは、言語聴覚士Sです。

 今日は、お話③発音を育てる生活動作と遊び でもご紹介した、「舐める」「食べる」についてお話したいと思います

舐めるとは

 

 舐めることはどうして発音の発達に役に立つのかをお話したいと思います。

 赤ちゃんにとって舐めるという事は、その物がどういう硬さかどんな触り心地かを確かめることが出来るだけでなく、舐めたり噛んだりすることで舌や唇の動きの成長に大切な刺激を沢山受けることが出来ます。

 その刺激は脳の発達や食べる機能等の発達にとても大切な刺激です。

 物を舐めている時、物の感触だけが脳への刺激になるのではなく、「唇や舌、歯茎に物が当たっている」という刺激も脳に送られます。

 それらを総合して、その物がどんなものかを知っていきます。

 同時に自分の唇や舌がどんな形かどんなふうに動くかということも知っていくことが出来ます。

 それは赤ちゃんの脳の発達だけでなく、発音の発達に対しても重要な行動です。

 自分の唇や舌がどのような形でどのように動くかを知ることは、正しい発音を学習していく上でもとても大切なことです。

食べることも大切

 また、少し大きくなったお子さんは成長とともになんでも口に入れるという事はなくなってくるので、口の中に刺激をうけるチャンスは歯磨きや食事、おやつの時間です。

 しっかり歯磨きやうがいをすることは口をきれいにするだけでなく歯や舌の位置を知る機会にもなります。

 食べることでも、食べ物をちょうどいい大きさにちぎりとったり、ベロで食べ物を噛みやすい場所に置いたりすることで唇や舌を思い通りに動かすことを学んでいきます。

 熱いものを「フーフー」と冷ましたり、ラムネをなめて食べてみたり、ちょっと大きな海苔巻き等をかじったり、たまにはいつも食べるものとは違うものや違う食べ方をしてみてもいいかもしれませんね😊

発音を育てる(うがい)

まだまだ、色々なことが心配な日々が続いていますが皆さんお元気ですか?

言語聴覚士のSです。

 

 

発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び でもご紹介した「うがい」についてお話したいとおもいます。

「うがい」は発音の相談に来られた方に、おうちで練習してみてください。

とお伝えすることがあります。

 それは、主に「カ行」の発音の口の動きと「うがい」の時の口の動きに共通点があるからです。

 でも、意外と「うがい」子どもにとっては難しいことなので、スモールステップでゆっくり練習してみてくださいね。


ぶくぶくうがい、ガラガラうがいどちらのうがいも、食べたり話したりする為に口を動かす力の発達と関連があります。

ブクブクうがい(口の洗浄)は、3歳から4歳でできるようになるそうです。

ガラガラうがい(のどの洗浄) は、奥舌で水が喉に流れていかないようにふさぎながら、息をはきながら行うため、ブクブクうがいに比べて難しい動作です。
 だいたい4歳から5歳児でできるようになるそうです。

 

3歳を過ぎてきたら、「ブクブクうがい」から「ガラガラうがい」と徐々に練習していくと、色々な舌の動きを経験することができます。


 

[ブクブクうがい]

①口に水を含んで、そのまま飲む

②水を飲んでから「ペー」と言いながら吐き出すまねをする。

③一旦、口の中に水を貯めて「ペー」と吐き出す。

④口の中に貯めた水を両側の頬を同時に動かして吐き出す。

⑤口の中に貯めた水を左右の頬を交互に動かして吐き出す。

[ガラガラうがい]

①水を口に含んで上を向く練習から始めます。このとき、この時、舌の奥で喉をふさぐ動きをします。

 ②ごっくんと飲み込んでしまわなくなったら、上を向いたまま、口を開けて息を出す練習をします。ゴロゴロと軽い音がするくらいで充分です。

難しければ、少量の水から練習しましょう。

 ③水でむせたり、ごっくんと飲みこんだりしてしまわないようなら、息を吐く力を強めます。 ガラガラという音が出せる様に練習します。

 

簡単なようで、意外とむずかしい「うがい」

まずは、おうちの人と一緒に真似するところからやってみてくださいね。

また、最初はびちょびちょになるかもしれないので、入浴中など濡れてもいい場所、いい服装でやってみてください。

そして、うまくできなくてもがんばれたら褒めてあげましょう。

 

参考HP

日本歯科医師会

発音(滑舌)様子を見ましょうと言われたら④

 

 

 

 こんにちは、言語聴覚士Sです。

 これまでお話してきたように、発音の練習を希望して「発音の練習をした方がいい」と言われたのに直接的な練習をすぐに始めない場合もあります。

 前回までに言葉を正しく理解することや音を聞き分ける力等、聞く力を育てることが優先の場合があることをお伝えしました。

 注意を向けることができる力

 言葉を正しく理解したり、自分の言葉を聞き分ける為にはまず、椅子に座ってジッとし目の前のことに注意を向けること、自分がすることに集中することが必要です。

集中していない子ども

 しかも子どもにとっては、「どうしてこんなことするの??」と思うようなことや、普段は意識したことがないようなベロの動きを練習するので、いつも以上に集中する力が必要になります。

 苦手な事に挑戦する気持ちも大事

 さらに、発音の練習を始める為には「別にしたくないけど」「自分がしたいことじゃないけど」やってみようと言われたことにも取り組む力が必要です。

 また、苦手だと思っている事も頑張ってやってみる気持ちも必要です。

 発音の練習を効果的に進める為には以前にも書きましたが、自分の「発音の誤り」に気づく力も必要です。しかし、自分の発音は間違っていると気づくことは、自分は「上手く話せない」という気持ちを感じてしまうことになるかもしれません。

 自分が上手くできないと思っている事を練習するのは、大人にとっても大変なことです。

 自分は「苦手なことがあるけれど、頑張れる」「ちょっと難しいことをするのも楽しい」

 そんな風に、思えるようになる為には生活の中の「できた」「がんばった」を積み重ねることがとっても大切です。

 体や手指を使う、耳で聞く、言葉を読み解く、自分の言ったことをチェックする。そして、集中する力、苦手な事にも挑戦する気持ち。発音の練習をしていく上で全て大切な事です。

先生や言語聴覚士に相談を

 ただ、これらの力があるないだけではなく、どこまで力がついてきているかを確認することも必要です。

 いつも、お子さんの近くにいると「どこまでできているか」はなかなか判断するのは難しいものです。

 通級指導教室の先生方や言語聴覚士は、「どんなことから練習したらいい?」「練習の開始のタイミングは?」等、お子さんの様子を総合的、客観的に評価します。

 言語聴能訓練室でも言語聴覚士が今後についてサポートさせていただきますので、ご相談ください。

関連記事

言葉の相談について  発音のお話①発音の発達  発音のお話②大人が発音の見本に  発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び  

参考文献

中川信子,日本小児耳鼻咽喉科学会,子どものこころとことばの育ち―親子を共に支援するために,日本小児耳鼻咽喉科学会総会,2013

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら③

 

 

 

こんにちは、言語聴覚士Sです。

    発音が上手になる為には体を動かすことも必要。発音の練習をする為には、身近でない人の言ってることばの意味も正しく読み解き、分かることが必要だとお話しました。実はまだまだ必要な力があります

    自分の発した「ことば」に間違いがなかったかチェックする力です。

言えているか言えていないかがわかる

 発音の練習を進めて行く上で、自分が「発音したい音」と「発音した音」が違っている事に気づいているかがとても重要になります。

 

 自分で正しく言えているかをチェックできなければ練習しても普段の生活で正しい発音を言えるようになかなかなりません。

 自分は「ねこ」と言いたいのに「ねと」になってしまう。だから、ことばの練習をするんだと、子どもなりに発音の練習に取り組む意味にもなります。

 言語聴能訓練室に相談にこられるお子さん達も、発音の誤りを周囲から指摘されてうまく発音出来ていないことは気付いていて、「言いにくいことばがある」と構音検査(発音の検査)の前に言ったけれど、構音検査の後にSTが「今日は言いにくい言葉あった?」とたずねると音の誤りに気づかず「(言いにくい言葉は)なかった」という事はよくあることです。

指摘や言い直しはさせないで

 だからと言って発音が違う事を発音の練習をする前から指摘しないようにしましょう。

 お家では、誤った言葉は大人がさりげなく正しい言葉で言い換えるなどして、正しい音を聞かせてあげましょう。そうすることで正しい発音と自分の発音を比べる機会をつくることができます。

 例)🐈子:「あ、ねとだ」→親:「ねこだね~」

 子どもには「言いたいことが伝わった」という思いを沢山経験させてあげてください。話すことが楽しいという経験を沢山重ねて、話す意欲も育ててあげることで積極的に発音の練習に取り組む気持ちを育てる為の土台も作ることが出来るからです。

次の記事へ 


発音のお話②大人が発音の見本に

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら① 

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら②

参考文献

中川信子,子どものこころとことばの育ち―親子を共に支援するために,日本小児耳鼻咽喉科学会総会,2013

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら②

こんにちは、言語聴覚士Sです。

 

 

 発音(滑舌)の相談にいった際に、発音については「様子を見ましょう」と言われたけれど「ことばを聞いて理解する力を伸ばす練習」を勧められることもあります。

  お母さん、お父さん以外が言っている事も分かる

 発音の練習をするためには、指示されたことを聞いて、これから何をすればいいのかを正しく理解する力が必要だからです。

 言われたことを 理解するためには、まず言葉が正しく聞こえていること、そしてことばの意味が分かることが必要です。

 子ども達は、意外とその場の状況や大人の身振りや目線等をヒントにして、言われている事を理解している事が多いものです。

 でも、発音の練習は状況等に関わらず「ベロを出して」「~しながら〇〇して」等の指示を常に出される練習です。

 だから、いつも一緒に過ごす保護者の方や先生の言っていることが分かる、そして色々な場面や身近でない人の言ってることばの意味も正しく読み解き、分かることも求められます。

 このように、発音の練習の前提として「ことばを聞いて理解する力を伸ばす」ことも大切なことなのです。

 次回は、自分の発音をチェックする力についてお話してみたいと思います。

*ことばを理解するためにできる遊びは、言語聴能訓練室のブログでも「ことばあそび」として紹介しています。参考にしてみてくださいね。

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら③へ

 

関連記事

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら①

発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び

参考文献

中川信子,子どものこころとことばの育ち―親子を共に支援するために,日本小児耳鼻咽喉科学会総会,2013

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら①

こんにちは、言語聴覚士Sです。

 

発音の相談に行ったら「ようすを見ましょう」と言われた

  言語聴能訓練室でも「滑舌が悪い」「言葉がうまく話せない」という相談をよくお受けします。

 発音の練習は早ければいいわけではなく、その子に適した練習を始める時期があります。

 その時期は、お子さんによって違いますが、4歳~5歳辺りから練習を始めるかどうかの見極めをすることが多いです。

 しかし、発音の相談に行っても「様子見」と言われることもあるかと思います。

 言語聴能訓練室でも「もう少し様子をみましょう」とお家で気を付けることや遊びをお伝えすることがあります。

 以前、発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び では、口を使う遊びや食べることを書かせていただきました。

 発音を育てる為には、口だけでなく体を使って遊ぶことや手指をつかうことも大切です。

 今日は体を使った遊びや手指を使った遊びがどうして発音(言葉)の発達に大切なのか少しだけお話してみたいと思います。

体を思い通りに動かせることが大切

 運動の発達は、全身を使った動きから部分的な動きへ進んでいきます。全身運動レベルでの動きがまだまだ未熟な子どもは、当然指先や構音器官(唇や舌)などの細かな運動もうまくいきません。

 また、自分で見える体の部分の動きが上手に出来なければ、自分で見えない体の部分を思い通りに動かすのは難しいです。

 発音の相談にいったけれど「様子をみましょう」と言われたり、発音の発達がゆっくりだなと感じたりした際には、まず体を動かす遊びがしっかりできているかを見直してみましょう。

例えば、手を振って走る

 走ることは簡単な事のようですが、膝を曲げて足を動かせているか、腕を左右別々に動かすことができているか等、スムーズに走れているように見える時は全身がバラバラの動きをして色々な関節を動かすことが出来ています。

 まだ、体の使い方のぎこちない小さな子どもだとペンギン走りのように膝がピンと伸びたままだったり、右手と右足が一緒に前に出ていたりすることがあります。

 もちろん、走るだけでなくブランコに乗る、鉄棒につかまってぶら下がる。ジャングルジムを上る等も体を大きく使って遊ぶのには有効です。

ペンを持って線を書くこともいい

 また、体を大きく使って遊ぶだけでなく手指を使った遊びもどんどんしてみてください。新聞を破いたり、折り紙を折ったり、はさみや糊を使った工作もいいでしょう。

 線を思い通りに書けるように手や腕を動かす、紙を破いたり折ったりすることは、指先を使い、手先や腕等の力加減を繊細にコントロールすることが必要です。

発音はもっと繊細

 正しい発音をする為の練習には、唇や舌を数ミリ単位で調整することが求められます。

 例えば「さ」と「た」は絶妙な力加減と繊細な動きの違いで発音されます。

 更に、発音が正しく言えるようになる為には、他にも様々な条件が必要になってくるのですから、練習を始める時期は子どもによって違ってくるのです。

 次からは、発音の練習を始める為に必要な力についてもお話していきたいと思います。

次の記事へ発音(滑舌)様子をみましょうと言われたら②

参考文献

加藤正子・竹下圭子・大伴潔編著:構音障害のある子どもの理解と支援

日本言語聴覚士協会,言語聴覚療法臨床マニュアル,協同医学書出版社,1992

関連記事 発音のお話①発音の発達 、発音のお話②大人が発音の見本に
      発音のお話③発音を育てる生活動作と遊び 、言葉の相談について