赤ちゃんからの英語学習について

 

 1~3歳のくらいのお子さんの保護者の皆様から「英語は早く習わせた方がいいですか?」「英語を習わせるのは早いですか?」というご質問をよく頂きます。

 結論から言うと、言語聴覚士としてはご家族が日本語を主に使うのであれば、日本語でのコミュニケーションがしっかり取れるようになってからの方がいいと思っています。

 日本語も英語も「ことば」です。

 「ことば」を育てるには、以前もお話した「ことばの3要素」を伸ばしていくことが必要です。「ことば」は日常生活の中で体を動かして感じたりする体験、心動かされる楽しい経験の中で育っていきます。

 「ことば」がまだ未熟なお子さんの何かを伝えたいという「きもち」を身近な大人が受け止めて「ことば」で代弁してあげたり、少し広げて返したりすることで「伝わった」という体験を積みかさねて更にコミュニケーションを楽しいものとしてあげられます。

 普段の生活の楽しいやりとりの中で「ことばの3要素」を伸ばしていくことが大切です。

 また、自分の気持ちや考えを伝える為に「ことば」を使えることが大切です。

 英語学習の動画やDVDを長時間ただ流しっぱなしにするのは、言葉の学習としてはお勧めできません。

 メディアだけを使って「単語」や「文」を覚えて言えるようになっても、考える力や伝えたい気持ちを伸ばすには不十分だと考えます。

 活用する際は、他のメディアと合わせて2時間以内を目安にし、多くの教材の提供元が推奨されているようにおうちで、お子さまと一緒に楽しんでいただく”ようにし、コミュニケーションをとりながら視聴するようにしましょう。

 英語教室は、お子さんにとっては日常では感じられない体験が出来る場になると思います。お子さんが教室でどんなことをしたか、どんなことを感じたかたくさん聞いてあげくださいね。親子の楽しいコミュニケーションのきっかけになると思います。


関連記事 

参考HP 中川信子 そらとも広場 英語ビデオ漬け 気をつけて

参考文献 発達教育(2014.7)P12-13

     水田愛 古石, 篤子(2000)年齢が第二言語習得に与える影響 : 早期英語教育のあり方を問う  

子どものお話する力の3要素

 こんにちは、言語聴覚士Sです。

 今日は「ことばの3要素」についてお話したいと思います。

 言語聴覚士的に「ことば」には3つの意味があります。

 例えばリンゴを見て

1<内言語:知っていること、考えること>

  

(あ、あれはりんごだ。美味しい味のたべもの)と頭の中で考えます

2<コミュニケーション意欲:伝えたい気持ち>

)〇○。

(おかあさんに、食べたいって言おう!)

3<音声言語声に出す言葉>

{りんご!

 「言えることば」は知っていることばが沢山溜まって増えていきます。

 言えることばと知っていることばの関係は氷山の絵でよく表されます。水面に出ている部分が言えることば、水中の見えない部分が分かることばです。

 知っていることばが少なければ、言えることばも少なくなり、逆に知っている言葉が増えれば言えることばも増えます。

 しかし「りんご」という事が分かっていて、声に出して正しく発音し言う事が出来る力がついていたとしても、誰かに伝えたいという気持ちがなければ「りんご」とわざわざ(声に出して言わないでおこう)となってしまいます。

 毎日、色々な経験をし身近な大人が言葉を添えてくれることで、知っている言葉を増やしていくことが出来ます。

 そして、体験したことを一緒にいつも楽しんでくれる大人に自分の気持ちや考えている事を伝えたいという気持ちが育っていきます。

 まだ、ことばが出ない小さな子には、今どんな気持ちでいるのかをよく見て話かけてあげましょう。「あー」「だー」等の喃語や泣き声に返事をしてあげたり、お世話をしてあげたりすることで

(声を出せば気持ちを分かってくれる。気持ちよくしてくれる)

 という繰り返しがとても大切です。

 


参考文献 

中川信子,心の相談医「子どもの心とことばの育ち」日本小児科医会,2019

ことばの発達とメディア

 

   今日は、私自身にも耳が痛いお話です。

 2000年代、母親と視線を合わせることができない言葉が出ないという主訴で小児科外来を受診することが増えました。

 受診したのは、市販の学習教材やビデオを使って勉強をしたり、テレビを1日何時間も視聴したりしている子ども達でした。

 そのことから2004年日本小児科医会が提言を出しました。


日本小児科医会による子どもとメディアの問題に対する提言

1) 2 歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。

2) 授乳中,食事中のテレビ・ビデオの視聴は止めましょう。

3) すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1 日 2 時間までを目安と考えます。 

4) 子ども部屋にはテレビ,ビデオ,パソコンを置かないようにしましょう。

5) 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルー ルをつくりましょう。


 長時間のメディア視聴は乳幼児の言語発達の妨げになることが分かってきています。 

 1人1台スマホがある現代、子どもが退屈な時間に利用できる動画サイトや幼児用アプリは育児の必須アイテムですよね。

 DVDインターネット、アプリを利用する際には子供と一緒に使う事でそれを会話のきっかけにしていけるといいですね。

 メディアの視聴を減らすだけでなく、コミュニケーションをとりながら視聴することで、絵本の読み聞かせと同じ様に子どものことばを増やす効果があるようです。しかしそれ以上に「やりたい」という気持ちを伸ばしていく外遊びやお手伝い、自分の身の回りのことをする経験や、親子で過ごす時間を大切にすることは「ことば」を育てていくためにとても重要なことです。

 なにより、楽しい経験のなかで、子どもが“リアルタイム”に知りたい事に答えてくれて、感じている事を言葉にしてくれるのは、身近な大人でないとできないことです。

 子どもの「ことば」は、生活の中でお父さんお母さんと体を動かしたり一緒の活動をしたりすること、視線や身振りも合わせて言われている事を理解すること、大好きな大人に伝えたいという気持ちを表現することで、育っていきます。

 次回は、ことばの3つの要素について書かせていただきます。


引用、参考HP

 日本小児医師会 子どもメディア委員会